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 上野山さんからのリポート
 「沖の島1日目、尾長の50cm」

  沖の島 (高知県)
   2003/01/11

 


昨年に続き今年も高知県沖の島に、グレネット管理人の下山さんと釣行致しました。
1月11日から13日の成人の日まで、2泊3日沖の島に宿泊しての釣りです。
天候は3日とも晴れの予想ですので快適な釣りになりそうです。
しかし、往復1200km近くある道中の車の運転と3日間の磯釣りを考えますと体力が持つかどうか心配です。

私は夏前にギックリ腰をやって以来、重い物を持ったり、長時間ドライブすると腰がだるくなります。
釣りの途中で腰痛が出ては釣りも楽しくありません。
ギックリ腰が再発すれば車を運転して帰ってくることもできません。
このところ整骨院にも週に1回は通っておりますが腰の状態は一進一退です。
年末には今回の釣行が決まっていましたので、年末年始の休みは、釣りに行かずに家でゴロゴロしてゆっくり休みました。
また、釣行日の前日と当日は整骨院に通い腰を入念にマッサージしてもらいました。
先生からは、釣りのあいだはカイロを腰に当てて、腰を暖めなさいとアドバイスを受けました。
中年になると、体中いろんなところにガタがでますね。
前日には地元のサンスイ釣具でハリなど小物を買い求め、リールの糸を巻き直しました。

3連休の天候もよく、沖の島で釣りができることが決まっていますので、すでに心は沖の島に飛んでいました。
もう遊体離脱の一歩前です。
釣具店での買い物も浮き浮きしてしまいます。
大物が来て道糸全部引き出されたらどうしようなどと心配して、つい道具を買いすぎてしまいます。
リール2個共に新しい5号の糸を巻きます。
若旦那が「4号でいいのでは?5号ですと、風が強いとさばきにくいですよ」とアドバイスをくれます。
しかし私は5号にこだわりました。
昨年の沖ノ島釣行記を読み返すと4号道糸を3回も切られています。
4号では弱気になりそうです。
「大物ねらいで行くので5号にします。50オーバー1枚釣れればいいです。あそこまで行って40cmのグレが釣れても満足しないですよ。大物かボーズかという釣りをしたいのです」と答えました。

店の奥から出てきた奥さんが、私が5号の道糸を巻いているので「どこまでいくの」と聞いてきます。
奥さんに「四国の沖の島です。このところずっと腰痛が治らなくて、腰痛が出ないか心配ですが、行かずにはおれんのです。
5号のハリスを切っていくような引きがタマランのです」といいますと、「上野山さん、ホンマに病気やね」と言われました。

さて、10日の金曜日は5時きっかりに仕事をすませ出発です。
家から約600km弱のドライブの始まりです。
珍しくオニ嫁が見送りに出てきました。
「釣れんでもええから無事に帰ってきてね」といいます。
道中が長いのでさすがに心配なのでしょう。

琵琶湖の横を通る国道161号線から湖西道路を通り、京都東インターから名神高速道に入ります。尼崎に予定通りの時間に着いて下山さんと待ち合わせますが、ホームページの更新で少し遅れるということです。
私は待ち合わせのデニーズで先に食事をしました。
9時前に下山さんが現れ、さっそく道具を積み込み、さきに私の運転で出発です。
下山さんに会うのは約1年ぶりです。

「年末は海外旅行もされたそうですが、体の調子はどうですか」と聞きますと「実は風邪を引いてしまい、昨日は会社を休みました。1日休んだためか、幾分は良くなりました」ということです。
病気になって、体調不良でも沖ノ島に向かうとは、下山さんも強烈な「オナガ病」にとりつかれているようです。

淡路島のパーキングで運転を代わり、私は後ろの座席で毛布にくるまって横になって寝ました。
このあとは、ほとんど寝ずに運転したあとでの釣りとなりますので、体力の温存につとめます。
高速が須崎まで延びたので時間が短縮されたようです。
我々は須崎の釣具店で3日分のボイルのオキアミを買い求めます。
片島港には3時30分頃到着しました。
今回予約したのは金子渡船ということです。

11日はそう混んでいないのですが、12日は大会があるということで31人の予約を聞いているということです。
荷物を船に積み込み、キャビンを見に行きます。
下はいっぱいですので、上で横になります。
釣りのことを考えると気が高ぶりますが、疲れていたためかしばらくして眠ることができました。

5時30分頃船は出発しました。
波はあまりないようですが、途中けっこう揺れることもありました。
沖ノ島の広瀬港には6時30分頃到着です。
泊まりの人を乗せて船は二並の方向に向かいます。
船が速度をゆるめましたので、外に出てみますと風が強く白波が立っています。
薄暗い中で船のライトに照らされた海にそそり立つ大きな黒い岩は、釣り人を圧倒する迫力があります。
気が引き締まります。
船はゆっくりと東のハナの船着きに向かいます。
この辺は少し風裏になるようです。
泊まりの2人を下ろしている最中に下山さんが前に行きます。

「次、低場と高場です。4人いませんか」と操船している人が声をかけます。
すると横にいた年輩の2人組が「あんたら2人やろ。わしらと上がらんか」と声をかけてきます。
下山さんは「じゃあ一緒に上がります」と返事して急いで荷物を取り出します。
我々は2番目に磯に上がることとなりました。
高場にはロープを伝って上がります。
薄暗い中ではとても危なそうに見えます。
何とか荷物を高場と低場に下ろします。
声をかけてきた2人組は高場に入ります。
我々のいる低場は狭くて、荷物を置くと身動きがとれない状態ですので、下山さんが4mくらい上にある棚まで登り、竿袋、磯クーラーを上げます。
マキエのバッカンは1個だけ残します。
この作業だけでも息が切れそうです。
7時過ぎになりようやく仕掛けを作り始めます。

「ここは、オナガの出る場所で有名なところですよ。気を付けてください」と下山さんが声をかけてきます。
「私は5号ハリスで始めます」と答えておきます。
                     

    二並(ふたならび)の東のハナ             磯際を狙う下山さん      

 今回の仕掛けです。
 竿    ガマ磯グレスペシャル2号
 リール  シマノBBX950GT 
 道糸   5号
 ハリス  シーガー5号
 ハリ   ガマカツ グレメジナ8号
 釣研の中通し3Bのウキを1ヒロ遊動とし、サルカンを挟んで5号のハリスを2ヒロ取ります。
    
仕掛けを投入しますと潮はゆっくりと右手の船着きに向かって流れます。
足下にウキを落としますと、右に流れて少しワンドになったところでシモリ始め、船着きのあたりで浮いてきます。
船着きの人のじゃまにならないように流すとなると20m位の間で釣らなくてはなりません。
沖にマキエを打ちますと、船着きにマキエをしてあげるような感じになってしまいます。
高場の人も同じ条件のようです。
我々の近くまでウキを流すと仕掛けを上げているようです。
我々に気を遣ってくれているようです。
マナーを心がけて釣りをされているようです。
潮が横に流れるときは、お互いにじゃまにならないようにウキを流すことで気持ちのいい釣りができます。

エサは時々頭をかじられます。
エサ取りも見えていますので魚の活性は高いようです。
なかには大きな魚も見えます。
我々は足下に少しだけマキエを打ちワンドの前の潮がよれているところを釣ることにしました。
9時頃になりシモったウキが少しはいりましたのであわせを入れます。
かかりましたがあまり引きません、これは2,3回リールを巻いている途中ではずれました。
「エサ取りじゃないですかね」と下山さんに声をかけておきます。

船着きの先端では40cmくらいのグレをかけているのが目に入りますので気持ちが焦ります。
同じように流していると、またウキが少し引き込まれます。
合わせますと今度はグッと引き込みます。
糸を出さずにこらえて寄せたのは41cmのクチブトでした。
「これで取り込みの練習になりました、あとは尾長が来ればいいのですが」と私がいいますと「私には練習の時から50cmの尾長が来てほしいです」という下山さんです。

その後アタリはなく時間が過ぎます。
船着きではボツボツグレがかかっているようです。
たまに沖に投入してみますが、沖に出たウキは右に流され船着きのすぐ近くを通り過ぎますので、船着きの釣りのじゃまになってしまいます。
たんたんと、ウキを磯際に落としていますとマキエをしてウキを落とす動作が作業のようにも思えてきます。

10時過ぎになり弁当船がきました。
ここは風裏になりますので磯変わりはしないことにします。
弁当を受け取るときに「ここは大きいのが出るから辛抱して」と声をかけられます。
場所が狭いので、1人ずつ立ったまま交代で岩にもたれて弁当を食べます。
私は弁当を食べ終えると仕掛けを作り直しました。
サルカンの結び目をくくり直し、ハリスを張り替えます。
ハリスはそのまま5号でハリはガマの小磯7号に落としました。
下山さんが弁当を食べてしばらくして、竿袋のある上の棚に上がっていきました。

私はウキを足下に落とします。
沖の流れは少し速くなったようです。
足下、磯際のウキは流れとは反対に左に進み、しばらくしてゆっくり右に進み沈んでいきます。
足下に反転流のような流れがあるのでしょうか。
私は渓流釣りもします。
渓流ではこのような反転流のあるところで魚は釣れます。
チャンスでしょうか。
仕掛けを上げますとエサはついています。
エサを付け直して、同じように足下にウキを落とします。
ひとりですので竿の操作が楽です。同じように流れたウキがシモリ始めます。
このときは、なんだかアタリが来そうな予感がありましたので、じっとウキを見つめます。

左に流れたウキが右に戻り、2mほど流れ水面下50cmほどシモったところで赤いウキがシューンと一気に見えなくなります。
来た!!
アタリが来そうな気がして、膝を少し曲げて前屈みになっていましたので、前傾姿勢であわせを入れます。
今回は、体勢は充分準備できています。
あわせると竿がキューンと一気に下に引き込まれます。
糸を出さずに、下への突進を竿と膝でこらえます。
穂先が水面につきそうになると、レバーをゆるめて少し糸を出します。

糸を出さないように竿でこらえましたので、2号の竿が満月に曲がっています。
5号のハリスを信じてこらえ続けます。
これまでここで糸を出して何度バラしたことか。
魚は右に、左にと走り回ります。
そのたびに竿は水面まで引き込まれますが決して糸は出しません。
「ここで糸を出しては地獄行きです」という家訓が頭をよぎります。
これは毎日のように唱えています。
(冗談です。こんな家あるわけないでしょう)
あえて、竿は立てずに水平の状態でやりとりします。
足下に突っ込まれたときは竿を前に突き出します。
ここは足下から切れている磯ですので、ワンドの方に突っ込まれなければ根ずれは無いように思いました。
少し抵抗が弱くなりましたので「来ましたよ」と上にいる下山さんに声をかけます。
ゴンゴンと竿をたたくような感じの引きに変わりましたので「サンノジかもしれません」と言っておきます。
やがて茶色っぽい魚体が浮いてきました。グレです。

「グレですね。1人でタモ入れできますか」と上から下山さんが声をかけます。
私は落ち着いて片手で荷掛けからタモをはずし、タモを入れました。
一発でグレはタモに収まりました。
「50cm位のグレですね」と下山さんが声をかけます。
私は47,8cmくらいかと思いましたが、尾長は名の通り尾が長いのですね。タモに入れたまましめて計りますとジャスト50cmでした。

ハリは飲まれていました。
ハリスをさわると、歯の当たるあたりがザラザラになっています。
口に指を入れてみると歯はヤスリのようです。
飲まれて、あれだけ高速で走り回られたらハリスに高速でヤスリをかけているようになるのですね。
また、最後には首を振るのかゴンゴンとした引きとなりました。
この間ずっと歯にハリスが当たっているかと思うと細ハリスでは難しい魚に思えます。
細ハリスの場合は唇か、口の横のカンヌキにかからないと難しいのでしょうね。
ハリス5号でも、もう少し走られたら切れていたかもしれません。
力勝負での強引で早めの取り込みが良かったと思いました。

敦賀に帰ったあとで、釣具屋さんに行って四国の話をしていたら、うまい人は魚を怒らさないようにして、なるべく横方向に引いて歯にハリスがこすれないようにやりとりをするらしいということでした。
たまにしか行けない私では、太仕掛の力勝負しか勝算はありません。
1日に1回でもアタリがあればいい、これで食ってこなければ負けという釣りです。
その後、下山さんが33cm位のクチブトを釣って1日目は終了しました。

道具をかたづけ、高場の方の荷物を下ろしたあとで、「いいグレですね。少し強引な取り込みに見えましたが良かったです」と年配の方から声をかけられます。
「腕が悪いぶん太仕掛なんです。今日は道糸ハリスともに5号でした。今まで何度だして地獄に落ちたか分かりません」といいますと笑っておられました。
高場の方は二人で3枚釣られたようです。
船着きも見た感じで5,6枚釣られたのではないでしょうか。
東のハナはボーズ無しのようでした。

港に戻りますと、他の泊まり客は徳島から来たという高場の二人組と高知の若い二人組です。
岸壁にクーラーや竿などの荷物を置いて、階段を上がり上の旅館に行きます。

宿に着きますとすぐ風呂に入り4時過ぎから食事となります。
一杯目のビールが心地よく喉を過ぎます。
「どちらから来られているのですか」と徳島の方に聞かれましたので、「こちらは尼崎から私は福井県からですと」答えておきます。
「そうですか。えらい遠くからですね」と言って、徳島の2人組はビールを飲んで、次は日本酒を注文します。
50過ぎの方と60過ぎの方のコンビです。
そのうち釣り談議となります。
徳島の60過ぎの方が、8号ハリスで1mオーバーのヒラマサを釣った話や、ハリス20号で、エサに食パンを使ってタマミを釣った話で盛り上がります。
我々はあまり寝ていないので、すぐに酒が回りますが、つきあって日本酒を飲みます。
私は50cmの尾長を釣っていますので気分良く飲めます。
だいぶん意識は薄れてきていますが。
徳島の人たちは一度に銚子5本ずつ注文して、ビールのコップで勢いよく飲んでいます。
そのうち高知の二人組とも酒のつぎあいになります。

「あんたら、おちょこで、ちびちび飲んどらんとコップで飲みなさい」と60過ぎの方に言われます。
「われわれはクチブトみたいな、おちょぼ口ですのでチビチビやります」と答えますと、「おもしろいこというなあ。そらもうひとついこか」と進められて、また銚子5本の追加を注文します。
ほんまに四国の方は酒が強いですね。

高知の若者も顔を赤くして「明日は吐いてでも磯には乗りますけん」と気勢を上げています。
「ところで明日はどこに乗りたいのですか」と徳島の方が聞きます。
我々はどこでも良かったのですが、高知の方が「三の瀬2番の裏に、明日来る友人2人とで乗りたいです」と言うと徳島の方が「まあ、泊まりどうし、なかよくやろやないか。明日はまだ北西がきついみたいや。
みんな2番の裏はのりたいんや。
我々はこの関西の2人組と4人で2番の裏に乗るので1番にあんたら二人でのらんか」と持ちかけます。

その後しばらくして高知の若者が相談して二人で一番に乗るということで話は落ち着きました。
話が決まったので、また酒を5本注文して飲みます。
この間我々も4本ほど注文しておりますし、高知組も8本ほど注文していますので、1時間弱で軽く2升は飲んでいるのではないでしょうか。
釣りの話がおもしろいので酒が進みます。
「釣りが終わったあと。泊まりの人と酒を酌み交わすのも釣りの楽しみの一つですよ」と徳島の60過ぎの人が言います。
この方は釣っている時間だけではなく、釣りの行程全体を楽しんでおられるのですね。
私も早くこんな心境になりたいものです。

「ここらの魚は、今日のアンタの取り込みみたいに強引にイカンと獲れんよ。よくビデオにあるみたいに、片手で竿を立てていなすなんて、とてもできんで。腹に竿尻を当てて、両手で竿を持ってグットこらえないとダメや」と徳島の50過ぎの方に言われて嬉しくなってしまいます。
ほんとに、ここの魚の引きはハンパではありません。
「明日も釣れるといいですね」といいながらだんだん私は意識が薄れてきました。
私は薄れていく意識の中で、どうにかみそ汁とゴハンを一杯食べると、よろめきながら2階の部屋に行きました。
まだ時間は6時前でしたが、布団にはいると同時に意識がなくなってしまいました。

        初日の釣果           太ハリスで50cm尾長を狙って釣って感激の私


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