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 上野山さんからのリポート
 「紀東にリベンジ 48.5 45.5 44×2 43 38」

  尾鷲 (三重県)
   2005/01/08

 


昨年末に家のノートパソコンが故障し、修理見積もりをしましたら液晶を交換しなくてはならないということで、10万円近くかかるということです。
これなら新しく買った方が良いだろうということで、富士通のノートパソコンを急遽買うことになりました。
急な出費のために,1月の四国釣行の旅費は削られてしまい、恒例の「ぐれねっと」管理人の下山さんとの釣行は私の都合により、日帰りで紀東に行くという割安な釣りとなりました。

3連休の真ん中の1月9日が十分睡眠も取れて釣行できるので希望でしたが、ネット仲間のRyutoさん(R君)、ゆたきちさん(Y君)も合流し4人で行こうということになり、スケジュールを合わせると、7日金曜日の夜出発となりました。
7日は夜8時ごろ自宅に帰り仕度をすませて、9時過ぎにY君と合流する大津に向けて出発しました。
11時ごろ大津でY君と合流したあと山科でR君下山さんと合流しました。

山科に向かう車の中で、Y君と紀東の釣りの話をします。
Y君は学生時代剣道をされていたということで、大柄でがっちりした体格のかたです。
私よりも4歳ほど年下ということ、家に風呂があるのに地元の銭湯に行くのが好きだということです。
Y君は正月3日の初釣りでは須賀利から出て、ドマクラで47と40cmのグレを釣ったということで今年は幸先良いということです。
なんでも、紀東はかなりの回数通っているけれども今回の47cmが自己最高の大きさということです。
47cmのグレは、サラシの切れ目でスルスル仕掛けにオモリを打って釣ったということで、最近はずっとスルスル仕掛けにこだわって釣りをしているということです。

私は紀東では一昨年の夏に下山さんと釣行した時にグレを釣ったのが最初で最後です。
ここ20年ほどの紀東での勝敗は、1勝9敗くらいでしょうか。

「ところでR君はどこの渡船屋に予約したのですか」とY君に尋ねますと「尾鷲の宮城野さんですわ。彼は結構あそこに通っているみたいですよ」とY君が言います。
私は思わず「ゲッ、あの渡船屋か」と思いました。
尾鷲の宮城野さんといえば、一昨年の年末に行ってエサも取られないようなボーズを食らっています。その時、帰りに料金を払いに事務所に行くと、事務所の前で良型のグレを並べた釣り人を船頭さんが写真に撮っておられました。
ボーズの私はコソコソと逃げるようにその場を立ち去ったことを思い出しました。

また、6年ほど前の12月ごろ、スポーツ新聞釣欄の「尾鷲寒グレ好調」という見出の釣行紀を見て、「たまには太平洋に行ってみんか。グレ釣れてるで」とチヌ釣りをしている友人を誘って3人で尾鷲に行きました。
スポーツ新聞に載っておりました宮城野渡船さんの電話とアクセスマップを切りぬいて持って行ったのを覚えております。
その時は満員の釣り人で、30人くらい船に載っていたのではないでしょうか。
我々3人は、いちばん最後に「トガ島」の空いていた所に着けてもらいました。
「最後に着けたので最後に迎えにくるよ」と船頭さんに言われたのを覚えています。
その日は私に30cmほどのサンノジが1枚きりで、あとは釣友がカワハギ1枚の貧果でした。
エサが取られないのでタナを6ヒロ前後と深くしましたので、私は1号のウキに丸ダマオモリで釣っていたと覚えています。

12月というのに日本海側にはないような暖かい陽射しの中で釣りができたので、道具を片付けて船を待つ間「釣れなくってもあったかいところで竿が出せて良かったね、冬なのに日焼けしたかもしれないな」などと話していると、釣り人を満載した渡船が回収にきました。
私が船に乗りますと「上野山さん、あんなに大きいウキでプカプカやってちゃグレは釣れませんよ。この時期は小さいウキでシブシブでやらなくては」とマイクでいきなり言われました。
満員の釣り人の前でマイクで言われたので私は顔から火が出るような思いでした。
港に着いて、「上野山さん。釣ったのがサンノジではなくグレなら、あのとき魚を取り出して『ワシはワシの仕掛けでグレを釣ったんや』といい返せたかもしれんかったですね。残念やったね」と釣友には、なおさらに傷口をえぐられてしまいました。

宮城野渡船さんといえば、私にとってはこういうインネンの渡船です。
たぶん、船頭さんは釣ってもらおうと思っていろいろ指導しているのでしょうね。
この渡船屋さんはホームページを自分で更新しているということですが、内容はなかなか辛口です。
主義主張があっていいですね。
なかなかこだわりのある船長と見ました。

さて山科で4人そろって12時前に尾鷲に向かって出発です。
1号線を走り関から伊勢自動車動を走り、途中のエサ屋でエサを受取り4時前に尾鷲に到着しました。
鈴鹿峠では雪が降っていて少し心配でしたが積もるほどではありませんでした。
私と下山さんは仮眠所が空いているということで、仮眠所で寝ました。
ここはきれいな仮眠所で、布団が10組ほどしいてあります。
我々は入り口近くの空いているところにもぐりこみました。
出船は5時30分ということですので少しは仮眠できそうです。
少しの時間でも仮眠でもしておくと後の疲れが全然違いますね。

5時20分頃に起きて仕度を澄ませて船に向かいます。
船は今回もほぼ満員で30人ほど乗っているようです。
船長は名簿を見ながら、各自の竿と磯クーラーが離れないように順番に並べていきます。
5時40分頃になり船は港を出ました。
船はスローで大鼻に向かっているようです。
6時過ぎに大鼻に着きましたが、他の渡船は来ないようです。
6時30分磯着けということでしばらく海の上で揺られて時間を待っています。

この間に船長がマイクで注意をします。
「最近は釣れ始める時間が早くても9時ごろです。良く釣れるのは12時ごろです。1時30分頃釣った人もいますので、ゆっくり始めて最後までがんばってください。水温は17度前後ですのでエサトリもけっこういます。浅いタナでも釣れています。50cmも釣れているので大きいのを釣りたい人はハリスは4号、ハリは9号以上を勧めます」などと丁寧に最近の状況を話してくれます。
各人とも、ここに釣るヒントがあるということで一言も聞き漏らさないという姿勢で船長の言葉に聞き入ります。
R君には「尾鷲では釣ったことがないので、今日は25cmのグレ1匹が目標です」と言いますと笑われました。

やがて6時30分になり磯付けを開始します。
船長が名前を読みあげる順番で磯に渡りますので、舳先で磯に渡る順番でもめることはありません。磯につけるときは船長がマイクで丁寧にポイントを説明します。
大鼻に下ろし終わっても他の渡船が来ないので、船は「立神」に向かい数人を下ろし、その後「白浜」に向かいます。

白浜の最後の磯に下ろしますと、残っているのは我々4人と2人組みの6人となりました。
白浜では夜が空けたので、海の中がよく見えます。
潮は濃いブルーで釣れそうな感じです。
「これからトガ島、サバル方面に向かいますので空いているところに乗ってもらいます」と船長が言い白浜を後にしますが「トガ島」も「サバル」も釣り客でいっぱいです。
Y君は「湾内の磯に下りるなら。さっきの立神や白浜周辺の磯にでも下ろしてくれればよかったのにな」といっております。

船長はエンジンをスローにしてR君と相談しています。
戻ってきたR君は「磯がないので寺島方面に行ってみるということですよ」と我々に言います。
Y君は3日にその近くの「ドマクラ」で釣っていますので「寺島」と聞いて元気が出たようです。
船は全速力で寺島方面にむけて走ります。
これで尾鷲の湾内を一周したような感じです。

  沖の寺島 手前Y君 となりが下山さん
  足場がよく広い釣り場でした

運がよかったのか「沖の寺島」の九鬼向きには2名しか釣り人がおらず、広い場所が空いておりましたので我々4人は並んで釣ることになりました。
この時すでに7時過ぎでした。
「帰りはいっかい港に釣り人を下ろしてから迎えにくるので、迎えは3時前と思ってください」と言って渡船は帰りました。
残った2名は「地の寺島」との水道に入ったようです。

「沖の寺島」の九鬼向きは足元から7、8ヒロあるどん深の磯です。
20mほど先で急激に深くなって水深30mくらいではないかとR君が説明します。
我々は沖向きにR君、私、Y君、下山さんと並びました。

私の仕掛けです。
竿はいつものガマのレイダム1.5号。
紀東では釣れる気がしないので、2号の竿も持ってきましたが軽いレイダムにしました。
リールの道糸も巻き直さずに音海で使った2.5のまま使いました。
ハリスは一昨年和歌山のフイッシングショップオザキさんで買った2.75号というマニアックな号数のものが1回しか使わずにありましたので、新しく買うのはもったいないのでこれを使いました。

この時まで、ホンマにぜんぜん釣れる気がしていませんでした。
ウキは釣研の円錐EX3B、これを1ヒロ遊動にしてハリスを2.5ヒロ取りました。
ハリはグレメジナの8号です。
エサはR君が頼んでおいてくれたのですが、ボイルのLとMを1袋ずつです。

足元に仕掛けを落とし、しばらくしてあげるとエサがありません。
サラシで少しウキが動く程度で流れはないようです。
海はべた凪でときおり弱いサラシが出る程度です。
R君にウキ下を聞きますと3ヒロ前後ということです。
「エサトリが多いですね」といっています。
潮があまり流れないので足元にはゴミがたまってきます。
どうも釣れる気がしません。

真下に落ちた針が手前から少し張り出したハエ根に引っかかり、サルカンの上から切れてしまいました。
ウキは何とかタモで掬いました。
私は磯に座って再度仕掛けを作りなおしました。
ふと横を見ますとR君の竿が曲っています。
水面に顔を見せたのは30cmほどのグレです。
そのまま抜こうとしましたが針ハズレで海に帰っていきました。
「今日は大物に備えて竿は2.5号、ハリス4号です。抜けると思ってズボラかましてしまいました」とR君が言います。
グレの姿が見えたので他のみんなは急に元気が出ます。

私はベタ凪ですのでウキをSサイズに替えオモリはジンタン3号1個をハリスの中ほどに打ちました。
これですとゆっくり仕掛けが落ちていきます。
しばらくして横を見ますと、またR君の竿が大きく曲っています。
しばらくこらえた後に穂先が跳ね上がります。
「朝から2回もやってしまいました。今度はハリスのチモトから切れています。オナガかもしれません」と言います。

私は何回振りこんでもすぐにエサが取られますのでウキ下を少し浅くして3ヒロにしました。
他の皆さんも1回もエサが残らないと言っていますがR君だけは2回アタリがありました。
8時過ぎに見まわりの船が沖に来て「Rさん反対方向の右端も良いですから。釣れなかったら右に移動してみて」とアドバイスをくれました。
私は「2回もバラしたら場所変わらんでしょう」とR君に笑って言いました。

そのうち潮が急に右に流れ出しました。
私のウキがY君の前まで流れるとゆっくりとシモリました。
半信半疑で軽くあわせるとゴンという手応えの後竿をしめこみます。
「これは大きい」と私は足場を確認して磯の前に出ます。
みなさんオッという感じで見ています。
レイダムが満月を描きますが、糸を出さずともためられそうです。
ゆっくりと浮かせたのは40オーバーのグレです。
Y君がタモをいれてくれました。
これは44cmでした。
釣れないと思っていたので私はいきなりの40オーバーでビックリしたり、今日はもうこれでいいな、などと思ったりしました。

下山さんは船長の言ったとおり10mほど右に移動しました。
しばらくして下山さんの竿が曲り40cmほどのグレを取り込みます。
その後連続で下山さんが40cm弱のグレを釣ります。
それを見たY君はたまらず下山さんの右隣に移動します。
「皆さんが釣れるのでカッカして頭から湯気出てます」とコメントしながらウキを投げています。

しばらくして「キター」と気合を入れながらやりとりをしています。
さすがに元剣道部だけあって気合が違いますね。
オット冗談です。
Y君が釣ったのは40cm弱のオナガです。

Y君が先ほどまで釣っていたあたりまでウキを流しますと、ウキが入ると同時に竿をひん曲げるアタリです。
強引に糸を出さずにやり取りして寄せたのは35cmほどのサンノジです。
「サンノジでした」とタモを持ってきてくれたY君にいいますと「サンノジなら自分でどうぞ」と言ってタモを置いて行きました。
「僕も移動します。ごめんなさい」と言って、たまらずR君も下山さんの横に移動しました。
それならば私もということで下山さんを挟んで4人が10mほどの間で釣ることになりました。

私は少しタナを深く探ろうと、釣研の「ツインセンサー」という小さい上ウキと水中ウキがひと組みになったウキに仕掛けを交換しました。
ウキ下は3.5ヒロほどでが、ジンタンオモリの仕掛けと違って3Bの水中ウキがついていますので、仕掛けがすぐに馴染み手返しが早くなります。
また、凪ですので小さいアタリウキも見やすくて使いやすかったです。

下山さんの右に入ったR君の竿が曲り46cmほどの大きなグレが釣れました。
R君は自分でタモを入れています。
「ようやく僕にも釣れました。渋いアタリですよ、10cmもウキは入りませんよ」と言ってタモを持ってバッカンの方に移動しました。
海水を入れてエアーポンプでエアーを入れてグレを生かしておくようです。

その直後にY君と私に連続してアタリ。
強烈な引きであがってきたのはお互いに40前後のサンノジ。
「この違いはなんや」と二人して海に向かって叫びます。

私はさらにウキ下を4ヒロほどに落として足元にウキを引きつけ仕掛けを沖に出さないようにしました。
上ウキは小さいですが、下に水中ウキがありますので沖に出る上ウキを戻しても仕掛けは浮きあがりません。
少しウキを手前に戻して誘いをかけるとウキがスット5cmほど沈みます。
軽く合わせますとレイダムが一気にひん曲がる突込みです。
リールのレバーをゆるめて竿を立てる分だけ糸を出し足場を確認して磯の前に行きます。
これはかなりの大物と慎重にやりとりをします。
私は急に魚が突込み竿が海に入りそうになると少し糸を出すという操作をしながらも少しづつリールを巻きました。

どん深ですので、少しは糸を出せると判断してやりとりをしました。
この時の仕掛けは、竿1.5号、道糸2.5号、ハリス2.75号、ハリはグレメジナ8号というライトな道具立てでしたが、竿が柔らかいためか大グレの突込みを柔軟に受けとめられたように思います。
ウキが見えてからも何度も突込む魚を浮かせると50cmほどのグレでした。
下山さんがタモで掬ってくれました。
タモを受け取った私は体高があるので50cmいったと思いましたが、渡船屋さんで計りましたら48.5cmでした。
重さは2.1Kgでした。

その後はR君に45cmほどのグレがかかります。
彼はグレバッカンに入れると、私の横に来ておにぎりを食べています。
「私は今日はもういいですわ。上野山さん、前回の口和深では72cmのイズスミ、今日は大グレでレイダムの腰は抜けませんか」とからかいながら私の釣りを見ています。
私はR君といっしょに磯に乗ると不思議と大物が釣れます。

     48.5cm のグレを持つ私

私も、もう十分と思いましたが、できれば50cmオーバーをと思いウキを足元に投入しました。
馴染んだウキを少し引くとまたスッとウキを押さえこむあたりです。
これは44cmほどのグレでした。
その後もサンノジ混じりで良型のグレが釣れ続きました。
納竿前にも45.5cmのグレを釣り、なんと私は33から48.5cmのグレ7枚、
うち40cmオーバーが5枚と、この日の宮城野渡船の竿頭になるという夢のような初釣りとなりました。
もしかすると、8日の尾鷲の渡船全体でも竿頭かもしれません。
サッカー風のネーミングならば「尾鷲湾の悪魔」とか呼ばれんやろうか、などとにやけました。
いっしょに磯に乗ったメンバーも全員40オーバーのグレを釣るという大漁でした。

渡船屋さんに戻って船長に話をしますと、先に引き上げた大鼻、白浜周辺のお客さんはほとんど釣れていないということでした。
「今日はだめだと思ったけど最後で釣れましたね。皆さんの乗るところがなくて私もどうしようかと思いましたよ、寺島が空いていたのはついていましたね」と船長が言います。
思い返せば、船長がわざわざ遠い寺島まで行ってくれたのでこの釣果があったのです。
「手抜きの渡船屋なら全員「大鼻」、「白浜」周辺にまとめて下ろすところだけれど、自分のお客さんはいいところに下ろして釣ってもらいたいのでしょう。ここの船長はこだわりを持っていますね」とY君が感心していました。
私も手間をかけて場所を探してくれた船長に感謝の気持ちでいっぱいでした。

我々は、各人釣った魚を並べて写真を撮ったり、魚を持って船長に写真をとってもらったりで鼻高々でした。
前回は、この風景の横を自分は逃げるように立ち去りましたので、ようやっとリベンジできた思いです。
苦手な紀東ですが、「この渡船屋さんならまた行ってみようかな」という気になりました。

  私の釣果 48.5 45.5 44×2 43 38        全員の釣果 全部で17枚です

帰りの車の中でY君が、「R君や上野山さんは50cm近いグレが釣れましたが、私は40cm止まりでした。何か違うのでしょうか」と下山さん聞きますと「Y君はスルスルで少し沖で釣っていたためではないですか。磯際の方が大きいのが出ると思いますよ」と、下山さんは解説していました。
交代で運転して大津には8時前につき自宅には10時ごろに到着しました。
気のあった仲間と冗談をいいながらの釣りは楽しいですね。

翌日はさっそくコンビニに行ってスポーツ新聞を買ってきました。
釣り欄を探すと私の名前がありました。
「三重県尾鷲 寺島 敦賀市 上野山氏 グレ40−48 7匹」という記事を見て、釣った情景を思い出して1人でニヤニヤしてしまいました。


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