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 上野山さんからのリポート
 「なじみの釣り場で船釣りと磯釣り」

  越前沖、西小川 (福井県)
   2006/05/20、21

 


5月20日は久しぶりに釣友のSさんと越前沖に船釣りに行ってきました。
1週間ほど前から台風が日本に接近しているということで天気が心配でしたが、当日の朝に確認の電話をしますと朝から船は出ているのでだいじょうぶと言うことでした。
前日は台風のためか強い南風が吹いていましたが、天気予報では20日は風が北に変わり、降っていた雨もやみ午後からの天候は曇り、波も1.5m後1mという事でした。

朝10時過ぎにSさんの家に迎えに行き道具をつんでサンスイ釣具店でオキアミを受け取り越前に小雨の中を出発しました。
途中、河野村のあたりは、霧が深く出船できるのかと危ぶまれましたが、越前岬を越えますとそれほど霧はありません。 
しかし、海を見ますと強い北風が吹き波も1.5mほどはあるようです。
Sさんは先週も船釣りに行ったということですが、先週は波で酔ってしまい3回ほど投げてダウンしたということで、しきりに「予報通りに波は落ちるのかな」と心配しております。

出船は午後1時という事でしたが12時30分には港に着きました。
なじみの船長にあいさつしますと、このところマダイは良く釣れているようです。
雨がやまないのでカッパを着て仕度をします。
私はこの船頭さんの船には15年ほど前から時々乗っております。
Sさんはこの船の常連で毎年来ていますが、私は5,6年前に来たのが最後です。
船長は年齢70歳くらいで潮風のためかシブイ声でしゃべります。
船長とは釣りの間は孫の話や物価の話や昔の越前町の話など良く世間話などします。
なじみの船頭さんの船ですと、釣りをしに来ているのか海の上に世間話をしに来ているのかわからないような、のんきな時間が過ごせますね。
船長は元漁師ということで良く海の中のことを知っています。

道具を船に積み込み1時前に港を出ますとかなりの波です。
海面は強い北風で白波が立ち船は激しく上下します。
10分ほど走ってアンカーを下ろしますが船が止まるといっそう揺れが激しくなります。

今回はマダイ狙いで、船のフカセ釣りですので仕掛けはシンプルなものです。
両軸リールに巻いた6号の道糸とハリス5号をサルカンで結びハリスを4ヒロほどとり、プロマダイ針13号をくくっただけです。
船の上からオキアミを撒き、つけエサを一緒に流すという釣りです。
船の後ろに向かって流れの中を釣るので、2,3人でやらないと仕掛けがお祭りしますし、横に走る魚が掛かったときなどは仕掛けを上げないと絡んでしまいます。
今回は二人で船を仕立てての釣りですので少しぜいたくな遊びですね。

揺れる船の中で針を結び、オキアミをシャクに4,5杯撒き、エサを落としてハリス分流れた頃から、道糸を出し始めます。
10mほど道糸を手で出しますと、結構流れがあるのでフリーにした両軸リールから道糸が流れに引っ張られて自動的に繰り出されます。
40mほど道糸が出たところで「ブーン」と音を立ててスプールが急に勢いよく回りました。
これはアタリと合わせますと、そう大きくはありませんが、魚がついています。
リールを巻きますと30cm弱のピンクのきれいなマダイが釣れました。
Sさんも竿を曲げていますので「大きいですか」と聞きますと「小さい小さい」ということで、これも30cmほどのチダイを抜き上げました。
二人とも1投目から釣れたのでこれは入れ食いかと喜びましたが、雨はやまず風は強まる一方です。

エサをつけて仕掛けを入れ、リールの回転を見ていると船が大きく上下するので気分が悪くなりそうです。
船に乗っているというよりも、ジェットコースターに乗っているような感じがするくらいの揺れです。
隣のSさんは何度もツバを海に吐いています。
かなり気分が悪いのかもしれません。

2投目は50m程流しましたがアタリがないので仕掛けを上げますと餌がとられています。
Sさんもカラブリのようです。
エサをつけて海に投げたところで船長が「アカンですわ。今沖止めの無線が入りました。全船撤収です。仕掛けを片づけてください」と言います。
沖を見ますと白波が立ち、空には黒い雲があり天気は回復しそうにありません。
他の船もアンカーを上げて帰るようです。
我々もそそくさと仕掛けを片づけ港に向かいました。
時計を見ますと1時半ですので、実際に釣りをしたのは15分ほどでしょうか。

港に着きますとSさんは青息吐息です。
「もう少し長かったら完全にダウンやった。今年は天気予報があたらんな」と憤慨しています。
私もたとえマダイの入れ食いになってもあの揺れではとても夕方までは持たなかったと思いました。
マキエは船長の計らいで漁協の冷凍庫に預けて6月も予約しているのでその時に使うということで、次回の約束をして港を後にしました。

Sさんは東京から釣りのために敦賀に戻ってきて、2投で終了でしたので気の毒でしたが、船に酔ってダウンしなかったので良かったかもしれません。
「6月も予約が入れてあるので都合がついたらまた船釣りに行こう」といってSさんとは別れました。
今回は船長が料金をいっさいとらなかったのでもう1回船釣りは行けそうです。
夜はSさんにもらったチダイの塩焼きと小さいマダイの刺身をおいしくいただきました。

翌21日の日曜日は前日の荒れた天気がウソのように五月晴れのさわやかな天気となりました。
私は前日が不完全燃焼でしたので、朝に少し用事を済ませた後で久しぶりに西小川のスミヤ渡船に電話を入れました。
「今からですと12時30分頃に着きますが、一人で出てもらうのは気の毒ですので誰か他にお客はいますか」と聞きますと、「オ、久しぶりやな。エエからとりあえず来てください」という船長の返事です。

サンスイでエサを受け取り12時30分に西小川に着きますと、「1時に出る人が一人いるのでその人を待って一緒に出てください」ということです。
「最近はどうですか」と船長にききますと「チヌは釣れているけれども、グレはまだポツポツやね。今年は水温が低いですわ。まだ、15、6度ほどかな」ということです。
「アカイ奴はどうですか」とききますと「大きいのは出ていないわ。小さいのはたまに上がるけど」という返事です。
1時まで20分ほど船頭と最近の釣客の事など世間話をして時間をつぶしました。
「渡船屋としたら、情報で動く人より、釣れんでも来てくれる常連がありがたいね」ということです。

やがて1時になりもう一人の釣り人と2人で出船しました。
海はベタ凪で弱い北風が吹いています。
久しぶりにさわやかな天気の中で釣りができます。
沖に出ますと、私が昨年マダイを釣り上げた「コボラグリ」には2人の釣り人が乗っていますし、「ヨコグリのはなれ」、「アシダカ」にも釣り人がいますが、「カモメ」が空いていましたのでそこに乗ることにしました。
「カモメ」は「子鯔の鼻」の先にある定員1人の小さい磯で1m四方程しかありません。
ベタ凪で無いと乗れない低い磯です。
カモメから少し離れたところに「コボラグリ」が見えます。

道具を荷掛けにかけて仕度をします。
今日はもしかすると「アカイ奴」が来るかもしれないのでハリス2号、グレ針8号とします。
マキエをしますが、なにもエサトリが出てきません。
とりあえず、ウキ下を5ヒロにして流しますが餌がとられません。
それよりも深くしますとワカメが引っかかります。

4時頃になりマキエの下にコッパグレが見えだし、エサも取られ出しましたのでウキ下を少し上げてグレが釣れないかと投入しますがいっこうにウキは沈みません。
回りを見渡しますと「エボシ」でタモを入れておりましたので、何か釣れたのでしょう。
「コボラグリ」向きに流れていた潮も夕方には逆潮となり今度は陸に向かって流れ出しました。
ウキ下を下げたり上げたりしてみましたが、結局一度もウキが沈まずに6時の終了を迎えました。
港に帰りますと45cmほどのチヌを釣っていた方もいましたので、チヌは釣れているようでした。
水温が低いので潮が通る沖磯よりも地方の磯のほうがいいのかもしれませんね。

スミヤ渡船の事務所前で道具を車に積み込んでいますと、隣の車に道具を積んでいた中年の釣り人から「いつもネットで釣行記を読んでいますよ」と声をかけられました。
若狭方面でも「ぐれねっと」はかなりメジャーになっているのですね。

船長には「また来ます」と挨拶して6時30分に西小川を後にしました。
2日間の釣りで30cmのマダイ1匹と貧果でしたが、二人の船頭さんと世間話などできて、なじみの越前若狭の釣り場は気楽でいいなと改めて思いました。


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