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 上野山さんからのリポート
 「連敗中、バラシはしたが光明が」

  西小川 (福井県)
   2009/04/04

 


4月4日は久し振りにSさんと若狭の西小川に釣行しました。
釣れなくても午後のほうが体が楽なので、渡船屋には午後1時に行くからと連絡を入れておきました。
当日は北の風が強く吹く予報ですが天気予報では波の高さは1mのち50cmですので、風波だけでウネリは無いと思われます。
朝10時前に渡船屋から携帯に電話があり、「風が結構吹いてきたので低い磯には乗れんわ、奥まった磯にのってもらってチヌ狙いでもええか」という話です。
すでにサンスイ釣具にオキアミの解凍を頼んでいたので、それでええよと答えておきました。
Sさんを11時過ぎに迎えに行き、サンスイでは解凍したオキアミ3枚にチヌパワーを混ぜます。
私はボイルの付け餌を別に購入しました。
私はナマのオキアミを触ると手の皮がむけるほどに荒れるのですが、不思議とボイルでは手が荒れません。

西小川のスミヤ渡船に1時前につきますと船長が待っていました。
「今日は昼からは15人ほど来ているで、あんたらが一番最後や」ということです。
「残りものには福があるかな」といって二人で船に乗り込みます。
船は岬の先端にあるボラグリに向かいます。
ボラグリの西向きが空いていたので、そこに二人で下りることになりました。
「ここの沖は深いので手前側竿1本までを5ヒロくらいでやってください」と船長が言います。
私もSさんもここでは釣ったことがないのですが、ボラグリは1級磯ですし、まあ風もそう当たらないので一番後から来たものとしては上等の場所でした。

ここで話が飛びますがお許しください。
先月昔の釣り雑誌を読んでいて、その中で北九州の若松敬竿さんという方のインタビューがありました。
なんでも30年も前にへら竿を中通しに改良してアブの両軸リールを使ってチヌ釣りをしていた、というような記事でした。
なかなかアジことをするなと思いましたら著作の紹介もあり「釣りファン」という雑誌に書かれていたものをまとめて「軟竿愚見」という本にして出しておられるということです。
私はその本を読みたくなりネットの古本屋で探してみたのですが見つかりませんでした。
そこで図書館の検索で探しましたら福岡県立図書館にあることがわかりました。
早速地元の敦賀の図書館に連絡して、リクエストカードなるものを書き、郵送料は払うので取り寄せてほしいということで申し込みをいたしました。
1週間ほどして手元に本が届きましたが、読んでいてなかなか楽しかったです。

まだ、オキアミが出てくる前の釣りの話でしたが、そのころでも著者はオデコがかなりあるようでした。
どうも、かなりチヌ釣りにこだわった釣り人らしく、沖磯でグレ、イサキなどが釣れていようと、あえて地磯に近い磯に乗ってチヌを狙ったという釣行記が書いてありました。
いつの時代も釣りは自然相手の遊びですので毎回釣果を得るというのは難しいようですね。
ただ、著者はあえて、へら竿を改良したという軟竿に両軸リールという道具だてで、1匹の魚を釣るというスタイルでの、釣りの楽しみ方を見つけられておられるようでした。

その本を読んだ後で、私も釣りは漁ではなく楽しむものであると改めて思い起こし、そういえば20年以上昔に使っていたシマノの0号の竿があったことを思い出しました。
このファインメタル0号、5.3mはカーボンの竿にX型にテープが巻いてあり、それで強度を出しているという当時としてはいい竿でしたが、あるとき手元から2番目が出たまま入らなくなったので、そのまま倉庫の片隅にほうってあったのでした。
その竿では、25年ほど前には0.8号のハリスで35cmほどのチヌを釣ったこともありますし、1.5号のハリスで40cmほどのチヌを釣ったこともあります。

先週の日曜日は寒くて釣りにも行かずに暇でしたので、サンスイ釣具にその0号の竿を持っていき若旦那に何とか竿が入らないものかと相談しましたら、取りあえずガイドをはずして、水平にして上からたたいてみようということになり、店の前で私が竿を支えて若旦那が竿に木を当てて上から金鎚でたたきました。
少したたいただけではビクともしないので「折れてもいいですか」と若旦那が言うので「どうせ使っていなかった竿ですのでかまいませんよ」と私が言って思いっきり竿をたたくと竿は入らずにたたいた箇所がひび割れてしまいました。
「これでは廃棄するしかないですね」と若旦那が言うので私は「この竿は捨ててください」と言って家に帰ったのですが、しばらくして携帯電話に若旦那から着信があり、もう1回割れてもいいという気持ちでたたいたら入ったということです。
竿の全長は10cmほど短くなりました。
ガイドも合わせて着けてくれました。
固着していた尻栓はネジを切っている部分を丸ごと取り外して、尻栓部分をはめ込むように改造しました。
こうして20数年前に使っていたシマノのファインメタル0号は再び日の目を見ることが出来たのでした。
いつものように若旦那が修理代金は要らないというので、私は磯靴のソールの交換とダイワのマキエ尺を買いました。
こんな買い物ではとても修理代金は出ませんね。
ネットでの買い物は確かに安いですが、こんな人と人との付き合いも大切だなと改めて思いました。

私は若松敬竿さんに習って、今回はこの0号の軟竿を使ってチヌ釣りをしようと思いました。
さて当日の仕掛けです。
竿はファインメタル0号、リールはシマノのレバータイプで道糸は2.5号にハリスは1.7号を2ヒロ半取ります。
ウキは釣研の円錐ウキ3Bとしました。
針はグレメジナの7号でサルカンを使って道糸とハリスを結びます。
ハリス側に2Bのオモリを打ちます。
取りあえずウキ下は5ヒロからスタートしました。

サラシが出ますのでウキが沖に出ないように磯際にひきつけて、ウキ止め糸まで仕掛けが沈んでからウキを流れに乗せますが、風が強くウキがなじむまでにだいぶ風で流されてしまいます。
潮は上潮が風に押されて流れているようですが、底潮は動いていないようでした。
私は3回ほど投入してから、仕掛けが落ちるまで時間がかかりますのでウキを5Bのものに交換しました。
これでスムーズに仕掛けが落ちるようになりました。
しかし何回投入してもエサは付いてあがってきます。
マキエをしても餌取も出てきません。
ウキ下を竿2本にしてようやく根掛かりのような感じで10cmほどのガシラが釣れてきました。
この場所は足元からドン深になっているようで、チヌ釣りには深すぎるような気がします。
今日もボーズかなという気が起こってきます。

3時ごろになり渡船がやってきました。
「風が弱くなってきたので一人場所を変わらんか」といっています。
上がりは5時ということですのであと2時間ほどですが、このままここでやっていても釣れる気がしないので私がSさんに断って移動することにしました。
船に荷物を積み込みますと、すぐ横のボラグリの正面に船を着けてくれました。
ここは5ヒロほどですのでウキ下を4ヒロほどに上げます。
ハリスも張りなおし、波が正面から来てサラシがきついのでハリスにガンダマを打ちました。

マキエを足元のサラシに打って仕掛けを投入しますとウキはサラシに押されて右側に流れていきます。
私はマキエがきくように多めにマキエを打って仕掛けを投入しますが、相変わらずエサは取られません。
左側に投入したウキは足元でなじんで右側に流れますが、私の正面では足元から出るサラシにも押されて少しモグリます。

10投目くらいでしょうか、足元まで流れたウキがモグリ始めるとそのまま勢いをつけて沈んでいきます。
これはアタリだとあわせますとゴンといった手ごたえで魚がかかりましたが、かなり大きそうです。
チヌならリールのブレーキ解除で少し走らせば取れますが、この魚はかなりの勢いで底に向かって走ります。
エッこれはマダイかと思いブレーキを緩めますが、マダイほどの勢いでは走りません。
しかし止めようとしても魚は止まりませんし、0号の竿は伸されて海に突き刺さったままです。
もともと5ヒロくらいの深さのところで4ヒロ半でやっているので糸を出せばすぐに根に擦れそうな感じです。
竿で起こそうと思っても、いかんせん0号の竿では太刀打ちできません。

足元の磯は緩やかに海に向かって落ちていますが、竿は真下に向かって伸された状態です。
そのうち、何か糸が根に当たっているような感じとなり、急にフワット竿が戻りました。
この間10秒も無かったでしょうか。
どうも相手はチヌではなかったと思います。
その後ハリスを2号にくくりなおしましたが1回入ったアタリは20cm弱のメバルでした。
その後は20cmほどのガシラを1匹追加して迎えの時間になりました。

港に戻りますとSさんは4時ごろにエサをとられだしたが、アタリも無いボーズだったということです。
今日は15人ほどお客さんがいて、55cmの居つきの真っ黒なチヌを釣っている人もいましたし、25cmほどのグレを2,3枚持っている人もいました。
船長に「あの後バラしたで。糸を切られた」といいましたら、「あんたこっちに来てみ」といって渡船屋の待合室に連れて行かれ、昨日釣れたという43cmのグレの魚拓を見せてもらいました。
なんと場所はボラグリで私の乗った場所でした。
釣れた時間も4時ごろということで私にアタリがあったのと同じ頃です。
「こらー。せっかくいい場所に移動してやったのにバラすとはけしからん。アンタそら40オーバーのグレと違うか、もったいないことしたで」と冗談ぽかったけど怒られてしまいました。
そういわれてみれば下に下にと持ち込む引きの感じはグレのような感じでした。
しかし0号の竿では相手が40オーバーのグレというのでは心してかからないと取れそうにないですね。
「これでは、またこんとアカンですね」と船長に言いますと。「ぜひ来て釣ってくださいよ」と船長に言われました。

帰り道にSさんと「バラシがあるとまた来たくなりますね」と話しますと「お前はここではようバラスな」といわれました。
連敗は続いているものの、今回のバラシでようやく釣れそうな感じになって来ました。
バラシはしましたが少し光明が見えてきたでしょうか。
次も0号の竿でやろうと思いますが、次は40cmまでの手ごろなサイズの魚が掛かってほしいものです。


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