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 上野山さんからのリポート
 「番外編 船からのフカセ釣り」

  越前白浜 (福井県)
   2009/06/13

 


6月13日はいつものSさんと、その弟子であるO君と3人で、久し振りに越前に船釣りに行ってきました。
船釣りによく行くのはO君とSさんのコンビですが、今年は解禁から5回ほど越前白浜の釣り船に乗っているそうです。
ですが、釣果はあまりよくなく、いままでどちらかがマダイを1枚釣るといったような程度だそうです。
しかし5月の終わりには、Sさんに大物がかかってハリを折られたということです。
Sさんはなんとしても逃した大物を釣りたいということで今回の釣行となりました。

私は5月にO君と会ったときに、O君から白浜の船頭も80歳を越したのでそろそろ引退するよという話を聞き、それなら引退前に一度釣りに行きたいといいましたので、今回合流することになりました。
釣り方は船からのフカセ釣りです。
船は仕立てですので釣り人は我々3人だけです。

両軸リールにサルカンをはさんでハリスを結び、あとは船から流すだけという釣りですので3人で並んでやると誰もが釣れると思いますが、なぜかアタリの回数は偏りが出ます。
まず道糸ですが、以前はナイロンを使っていましたが最近はフカセ釣りにもフロロカーボンの道糸を使うことも多いようです。
フロロカーボンはどうしても沈み込むようですので、道糸の違いでタナが変わるようです。
それ以外にもサルカンのところに潮の抵抗を受けやすいようにパラシュートというプラスチックとか黒檀でできていて、コマをひっくり返した形のものを付けるとか、磯用の水中ウキをつけるとかでタナは変わるようです。
要するに船から撒くオキアミの流れに自分の付け餌が同調するかがポイントとなります。

O君は電動リールにフロロカーボンの道糸です。
これだと沈むのでサルカンの手前に発泡ウキを付けるということです。
Sさんは長年愛用のアブの両軸リールに8号のナイロンの道糸でサルカンのみ使用ということです。
私は15年ほど前に購入しましたシマノの小船という手巻きのリールに8号のナイロンの道糸です。
このリールはカウンターの電池が切れていますが、フカセ釣りですのであまり関係ないと思い電池は入れ替えませんでした。
このリールは最後に使ったのは8年ほど前ですので、10年ほどまえに巻いた道糸のままです。
釣行前にスプールが回るかどうか試してみましたら、スムーズとは行かないもののスプールは回ります。
道糸も引っ張ってみましたがとても切れそうな感じはしないのでそのまま使うことにしました。

さて当日は11時前に2人を迎えに行き越前の白浜には12時過ぎに着きました。
前日の天気予報では波は0.5mということでしたが当日の朝には1mとなっていました。
途中見える岩場では白波が上がっていてこれは1mの波どころではないなという感じでした。
私以外の二人は船に弱いので酔止めを飲んでいますが、今日は大変という顔つきです。
この日は予報以上に波が出たようで、新潟のほうでは2隻のプレジャーボートがひっくり返って犠牲者も出たようです。

「今年は5回来ているけど今日が一番波は高いわ」とO君が言います。
港で道具を下ろしていますと、程なく自転車に乗った船長がやってきます。
出船は1時ということですので少し時間がありますが、O君などは上下する船を見ているだけで酔いそうだといって桟橋で横になっています。
1時前になり他の船がエンジンを掛けました。
「ホンマに出るんか」といいながらSさんとO君は船に乗り込みます。
二人にとっては修行のような釣行となりました。

船は港を出ると敦賀方面に10分ほど走ります。
途中併走していた船のマストだけしか見えなくなるほどのウネリがあります。
実感では波は2m近くあったのではないでしょうか。
ほどなく船はゆっくり進みアンカーを落とします。
さっそくパラパラとオキアミを撒きますとかなり早く流れていきます。
ウネリはありますが風が無いので船は潮で立っているようです。
船は横からウネリを受けますので、何かにつかまっていないとよろけてしまいます。

私は3.6mの船竿に仕掛けをセットします。
今回はサルカンのところにキザクラのJクッションをつけました。
これがありますと少し仕掛けが沈むのが早くなると思いますし、仕掛けを上げるときに黄色が目立ってリールを巻きすぎることもなさそうです。
ハリスは5号を10mほど取り、針はプロマダイの9号を1本です。
なんとも簡単な仕掛けです。

早速オキアミをしゃくで5杯ほど撒いて仕掛けを投入します。
最初の20mほどは手で糸を出しますが潮が行っているのに糸が出ません。
どうも8年も使っていないのでスプールが硬いようです。
仕方が無いので手で50mほど出しますとようやくゆっくりとスプールが回り始めました。
魚が食えばスプールの回転が速くなるのであわせを入れるという手順です。
時には青物がかかったりするとジャーと糸が出てパーマしてしまうこともあります。

200mほど糸を出しても何も当たらないので仕掛けを上げますと少し抵抗があります。
私の1本針の仕掛けには20cmほどのチャリコが針をほうばって上がってきました。
その後O君もチャリコが掛かります。
大きなマダイは誰にも釣れずに餌がとられるか、20cmほどのチャリコが釣れるかです。
150mも流すと餌がとられるので、だいたいそのあたりまで流すとアタリが無くとも仕掛けを上げます。
仕掛けを150m流し、リールを巻いて餌をつけて投入という一連の動作で大体10分から15分くらい掛かります。
魚が遠くで掛かるとそう手返しは速く出来ませんが、これが50mから30mくらいで入れ食いになるとマダイが30匹以上釣れることもあります。

3時ごろになり、一度200mほど糸を出したのですが、空振りだと思いながら巻いてくる途中で少し重くなりました。
「またチャリコが釣れたと思う」と隣のO君に声を掛けるとだんだん重くなります。
あと20mほどまで巻いたときには竿はかなり曲がっています。
「これはもしかしてタイかもしれんな」といって巻きますと上がってきたのは40cmほどのマダイでした。
これはいつ掛かったのか分からなかったので、勝手に釣れたという感じでいまいちでした。

O君はすこし酔ったようで横になりながら釣りをしています。
電動リールから出る糸の速さが早くなるとブザーで知らせてくれるということです。
最近の釣具の進歩には驚かされます。
しかしO君の仕掛けはフロロカーボンの道糸のためかよく根掛りするようです。
3回ほど根掛りして仕掛けを直していました。

4時ごろになり、釣れたチャリコを入れてある生簀を見ますと何匹か腹を返しています。
私は仕掛けを流したまま、タモでチャリコを掬ってクーラーに入れました。
竿のところに戻りますとどうもスプールが早く回っているように思えます。
合わせもせずに巻き始めますとまたチャリコのような感じです。
そのうちに重くなりますが全然引きません。
「重いだけで引かんわ」といいますとSさんが「そりゃドザエモンでもかかったんやろ」とからかいます。
これもあと20mほどまで巻いたときにようやく底に向かって引き始めました。
ハリスをつかんで引っ張りますとピンクのマダイが上がってきました。
船頭に掬ってもらったのは60cmほどのきれいなメスのマダイでした。
しかしこれも掛かった瞬間はチャリコを掬っていて見逃してしまい、勝手に釣れたという感じで釣った感動はありませんでした。

その後Sさんにアタリがあり67cmのオスの黒いマダイが上がりました。
「これは黒ダイの大物じゃないの」とからかうほど色の黒いタイでした。
夕方7時までやりましたがその後はチャリコが釣れるだけでマダイは上がりませんでした。
7時になり船はアンカーを上げました。

二人とも何とか最後まで釣りが出来たのは何よりでした。
港に戻ると船長が「今日は朝のうちは風が南なのに潮が南に走ったのでアンカーを釣る感じになってボーズやった。午前中はボーズの船が多かったで。
他の釣り船から昼からも潮が流れんのでどこでやったらいいという電話がかかっとった。
あんたらは運がいいな。またおいで」といいます。
私たちは運よりも熟練の船長の決めた場所がよかったので釣れたようなものです。
船釣りは船長の腕次第ということかなと思いました。
この腕のいい船長が引退するまでにはもう一度くらいは来ようと思いますが、秋はよほどのナギでないと他の二人はダウンしそうですね。


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