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 上野山さんからのリポート
 「無数のグレが右往左往も食いつかない」

  武者泊 (愛媛県)
   2012/02/26

 


夜中に目がさめましたら、仮眠所は満員になっていました。
昨日の夕方、仮眠所に煙草を吸いに来た船長が、今日は雨も上がって20人ほどの釣り人が来ると言っていたことを思い出しました。
次に5時半に目がさめましたら、ほとんどの方は着替えを済ませているようです。
私も釣りの服装に着替え、外の自動販売機で缶コーヒーを買い朝食用に買ったパンを食べます。
車のところに行きますと、いとうさんが常連さんと話しています。
いとうさんによれば、「今日は7人組と5人組がいるので我々はどこに上がれるかわかりません」ということです。

6時を過ぎて船に道具を積み込みますと、船は6時15分の定刻どおりに出船します。
今日も北西の風が強いようです。
天気は晴れるかと思っていましたが、朝は弱い雨も降っています。
船はゆっくりと鼻面岬まで来ました。
今日は少しウネリがあります。ガマゴウラの2番は低いところが波をかぶっています。
7時になり船は千畳、ナダレ、ワレ、先端と次次に釣り人を下ろします。
この周辺だけで、14、5人が下りたでしょうか。
一通り釣り人を下ろしますと船はスピードを上げて手前に戻ります。

我々3人に「2人と1人に分かれてもいいか」と聞かれましたので「それでいいです」といとうさんが言っています。
船は大ミツという地かたよりの大きな磯につけます。
ここに下山さんが1人で下りました。
「裏に回って船を着けたのと反対側の風の当たらないところで竿を出して」と船長からアドバイスがあります。
そこから200mほどはなれた小ミツに私といとうさんは上がりました。
9時半が満潮ですので、まだ潮が込んで来るのですが小ミツは海面から1.5mほどの高さの小さな岩が3つ顔を出しているだけです。
二つの岩は行き来できますが、離れた岩は間を波が通ります。
その中の一番高い岩に荷掛捧が立っています。

私は荷掛捧に竿袋をかけて磯を見渡しました。
ここは岸からは30mほどしか離れていない磯ですので、浅そうに思えました。
いとうさんに「磯が狭いのでタモは私が1本出すので二人で使いましょう」といい私はタモを組立ました。
二人の釣り場ですが、荷掛捧を打った岩で私が釣り、その右手の低い岩でいとうさんが釣る事になりました。

いとうさんと2人だけで釣るのは初めてです。
バッカンに入れたオキアミに海水をいれ、マキエを足元に打ちます。
オキアミはサラシに押されてゆっくりと前に出て行きます。
風も当たらず波もそうありませんので釣やすい感じです。
朝降っていました雨も上がったようです。

今日の仕掛けですが、竿は昨日と同じグレスペシャル2号にハリス4号2ヒロ半、グレバリ8号で、ハリスと道糸は直結にして、赤いOウキをヨウジで固定します。
ウキ下は3ヒロ弱取ります。
いとうさんに「ハリス何号ですか」と聞きますと「3号です。今日はお土産が欲しいので」といとうさんです。
私は「それは裏切り者やな。私は大物に備えて4号でやりますよ」と、いとうさんに声をかけました。

1投目はウキが沖に出ますので竿2本ほど先まで流しますがアタリはありません。
30mほど沖でなにか魚が跳ねているような波紋が広がります。
いとうさんに「何か魚が跳ねています。ナブラかもしれません」と言いますがいとうさんはよく見えないようです。
3投目に足元でウキが入ります。
合わせますとこの魚は沖に向かって走ります。
ブレーキを緩めて糸を出し、竿を起こして竿でためますと魚は止まりましたので、これは化けモンでは無いようです。
魚は右に左に走り回りますがハリス4号ですので強引に寄せましたらどうもハマチのようです。
いとうさんが出してくれたタモに入ったのは50cmほどのハマチでした。
今日は幸先良く、もって帰ることができる魚が釣れました。

                        足元で釣れたハマチ 50cm

私は海面で魚が跳ねたのはハマチだったのかと思いましたが、後になって考えて見ますとこれは沸きグレだったのではないかと思いました。
その後はたまにエサがとられる程度でアタリはありません。
しかし、偏光グラス越しにマキエをじっと見ていますと、下に落ちていくマキエに青い魚が出てきています。
これはグレではないでしょうか。

そのうちに20cmほどウキが入ります。
掛かった魚はあまり引きません。
抜き上げましたのは28cmのクチブトです。
これは放流しました。
続いてウキが入り今度はクチブトの35cmが掛かりました。
これは自分でタモを入れます。
これはシメて氷を入れた磯クーラーに放り込みます。

マキエを打ちますと底の方に出てくるグレが見えますので、これでは今日何匹釣れるのかと思いましたらその後はさしエサは取られますがウキに当たりは出ません。
いとうさんもウキの下にグレは見えているようですが喰わないといっています。
「このグレ、スイッチが入って喰いだしたらすごいですね」といとうさんが言います。
マキエをまきますと無数のグレが右往左往します。
中には40cmオーバーと思えるグレもいます。
大きなグレがウキの下を横切ったりもします。

私は3ヒロでは深いのかと思ってタナを浅くしたり、Oウキのヨウジをとってスルスルにしたりしましたがグレのアタリはありません。
「上野山さん、こっちを見てみてください」と、いとうさんが言いますので磯の後ろを見ますと青い塊になって無数のグレが磯の浅いところに群れています。
「さっき喰いましたが根擦れで切れてしまいました」と、いとうさんが言います。
私はウキ下2ヒロ半で、仕掛けを群れの中に放り込んでみましたがつけエサにはさわりません。
3投ほどしてみましたが、当たりが出ないうちにグレは移動してしまいました。
その後も足元にはマキエをまきますと、相変わらずグレがウロウロしますので何とか釣ろうと同じところにウキを投入しますがスルスルでは底まで落ちたエサにウツボが釣れてきます。
磯際狙いで落としたエサにもウツボが食いつきますので、見えているグレの活性は高いのかもしれませんが、つけエサは食べないようです。

一度根の際スレスレに落としたウキが少し入りましたので、合わせましたらウツボの引きではありませんでしたが、魚を根の下から出そうとしているときに根擦れでハリスから切れてしまいました。
これもそう大きい魚ではなかったです。
グレとすれば40cmほどだったでしょうか。
「今日はおみやげを釣らなくてはならないのでハリス2号に落としました」といとうさんは言っています。
いとうさんの竿が曲がったので「何か釣れましたか」と聞きますと、内緒話をする時のひそひそ声で、「う、つ、ぼ」といいます。
磯で二人きりの状況で、50すぎのオジサンのヒソヒソ声はかなり不気味です。
まあ、とってもユーモアのある、いとうさんの一面でした。
そして、海面に顔を出したのは予告どおりウツボでした。

この後もグレは見えますが餌が取られるか、餌が底まで落ちてウツボが掛かるかです。
私は4匹、いとうさんは6匹ほどウツボを釣ってしまいました。
ウツボがかかると恐ろしいのでハリスから切ってしまいますので、11時ごろには8号のハリが無くなり私は9号のハリでこのあとは釣りました。

12時頃になりマキエをしてもグレが見えなくなりました。
スルスルで沖にウキを投入しても潮が当たってくるためか、ウキは竿1本ほど沖にあるのにハリは足元で根掛かりしたりします。
私は12時ごろまで立って釣っていましたのでさすがに疲れてきて磯に座って釣りました。
いとうさんは潮の引いた磯の左側に移動して竿を出しています。

1時ごろでしたでしょうか、足元に投入しましたウキが久しぶりに入ります。
軽く合わせますと魚は沖に向かって走ります。
これもかなり強い引きですのでブレーキを緩めますが座って釣っていた為に素早く動けません。
魚は一気に30mほど走りましたが海面スレスレを走っているので今回もハマチかもしれません。
なんとか立ち上がって竿を起こしたときに魚が沖でジャンプしました。
掛かった魚はスズキです。
そのままエラ洗いをされてハリが外れてしまいました。
ジャンプしたときの大きさでは70cm近いヒラスズキではなかったでしょうか。
「上野山さん、魚が走っているときウキが海の上を走っていましたよ。バラシは座っていたためですか」と、いとうさんに言われますが、エラ洗いでのバラシは立ち上がってからでしたので、ちゃんといいところにハリがかからなかったのがバラシの原因でしょう。

1時を過ぎて終了まであと1時間です。
いとうさんは、しきりに「ウツボを釣ればパーフェクトボーズにならないかどうか、ゆたきちさんに聞いてくれませんか」と言っていますが、そんなに弱気では釣れるものも釣れないでしょう。
私は「ヘビみたいなウツボではパーフェクトでないですか」と冷たく言っておきました。
そのうちにいとうさんは10cmほどのガシラを釣りました。
これでパーフェクトは逃れたと思いますが、余りにもレベルの低い話です。
いとうさんとすれば沸きグレが食いついた時が唯一のチャンスだったのかもしれません。

私はヒラスズキをバラシたあとはどうにも釣れる気はしなくなりました。
残り時間が20分ほどとなり、いとうさんは最後の手段とばかりに丸玉錘に換えて、ハリスを短くして足元を探っています。
良型のガシラでも狙っているのでしょうか。
そろそろ、いとうさんの頭の中には岩崎宏美の「同じ空の下で」が流れ始めているのではないでしょうか。

いとうさんの様子を見ていますと竿が曲がりました。
上がってきましたのは、またしてもウツボです。
いとうさんは最後もウツボでシメました。
いとうさんは、今日、ウツボを8匹ほど釣ったのではないでしょうか。
「ここで二日連続グレが釣れなかったのは、久しぶりです」と、いとうさんは言っています。
先日はグレを35匹釣ったと言っておられましたが、釣りの上手な人でも釣れない時があるものですね。
まあ、遊びですので毎回たくさん釣らなくても良いのではないでしょうか。

2時の迎えで港に戻りますと、どこの磯もそう釣れてはいないようでした。
下山さんは35cmほどのグレを2匹釣ったということですので、これで連敗が止まったようです。
下山さんは磯に乗ってしばらくは、マキエを撒きますと足元に魚がたくさん見えたので、これは釣れると思ったようですが、つけ餌には食いついてこなかったと言っています。
磯の状況は似たようなものだったのでしょう。

            私と下山さんの2日間の寂しい釣果 ハマチ50cm グレ35cm 3枚 

サンスイ釣具の若旦那が翌日の月曜日から1人でいろは渡船に来ると言っていたので、船長に明日のお客さんはあるのかと聞きましたら今のところ明日はいないということです。
一人では船が出ないので弱ったと思いましたら、いとうさんが「私が残ってサンスイ旦那と二人で釣ります。気楽な身分ですから」と言ってくれました。
サンスイ釣具に電話をして事情を話しましたら、いとうさんにはお世話になりますがよろしくということでしたので、直接いとうさんに電話でお礼を言ってもらいました。
いとうさんのおかげでサンスイ旦那も釣りができることになり、敦賀組は大変なお世話になりました。

今回、私がいろは渡船で磯釣をすることになりましたきっかけは、いとうさんがグレネットの掲示板に釣果を投稿されていたことでした。
考えてみますと、グレネットがあればこそオジサン同士で親睦を深めて楽しい釣りができるというものですね。
ぐれねっと管理人を10数年にわたって続けておられる下山さんにも感謝です。
いとうさんと、またの釣行を約束して、帰りは津島安らぎの湯の温泉につかり、明石には10時過ぎに、敦賀には1時過ぎに到着いたしました。

50半ばのオジサンにはちょっとハードな行程でしたが、楽しいことが多くて疲れを感じなかった釣行でした。
釣りに行く前は待ち遠しくてなかなか時間がたちませんが、当日を迎えますと、楽しい時間はアットいう間にすぎてしまいますね。
次回、四国にはいつ行けるだろうかと、釣行記を書きながら横目で4月のカレンダーを睨む私でした。


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