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 上野山さんからのリポート
 「「おい来たぞ」と声を掛けた

  武者泊 (愛媛県)
   2018/01/16

 

武者泊の2日目です。

昨日は夜の7時過ぎに寝たためか、もう十分寝たかなと思い目を開けて時計を見たらまだ夜中の12時過ぎです。
仮眠所を見回すと今日も泊まっているのは我々を入れて3人です。
仮眠所の中も昨日ほど寒くないので、きっと低気圧が接近してきて南の暖かい空気が近づいてきているのだと思われます。
この後はなかなか眠れません。
浅い眠りのためかいろいろな夢を見ているうちに5時半となり皆さん起き出しました。 

支度を整えて港に行きますと今日は5名の釣り客のようです。
予報では東の風ですが風はありませんし、昨日よりも暖かいので今日は釣り日和のようです。

気になりますのは天気よりも水温です。
水温が昨日より上がっていればよいのですが。 

船長と話をしましたら「今日は鼻面岬のほうに行くのでMさんたちは千畳に乗ってください」ということです。
さすがに2日目となりますと船長の計らいで1級磯に上がれますね。
私は「千畳」に上がったことが無いのでM君にどんな感じの磯か聞きますと「私は3回ほど上がったことがあります。磯は平たくて足元から切れていて釣りやすい場所です。ただ潮が回るような感じですので千畳と言っても2人くらいしか竿を出せないと思います」ということです。 

6時半になりますと船はエンジンをかけ我々は船に乗り込みました。
15分ほど船で揺られましたら鼻面岬が見えてきました。
千畳の奥の磯で竿を出している釣り人がいますので「あれは他の渡船屋が上げた釣り人ですか」と船長に聞きましたら「あの人は上の道から山を降りてきている人だね。イシダイ狙いでよく来ているよ」ということです。
上の道と言いますとどう見ても降りてくるのに1時間ほどはかかるのではないでしょうか。
石鯛釣りの道具を持って降りてくるとはものすごい情熱の釣り人なのでしょう。

鼻面岬の千畳 中央サラシの右側の白い点が釣り人 
道路は中央の木のない山から左の尾根を越えた上にある



やがて7時となり船は磯に着けました。
千畳はほんとに平らな磯で釣りやすい場所です。
沖に向かって右前にシモリが顔を出しており、そこからサラシがでます。
磯はワンドのようになっていますので潮が回るような感じになるのでしょう。

千畳 他の渡船が「ワレ」に着けています。


我々は「千畳」に上がりましたらまずオキアミを海に入れて溶かしました。
それから道具を作ります。
道糸のヨリは昨日仮眠所で取りましたので今日はだいじょうぶです。
道具を組み立てながら、昨日残った沖アミを足元にまきます。

しばらく海を見ていますと撒いたオキアミは右側にゆっくり流れていき、その沖アミをフグのような魚がでてきて食べています。
私はこのエサトリを見て今日は釣れそうだなと思いました。
まず今日は野地島方面に行かなかったことで釣れそうな気分でした。
私はM君に釣りやすい右側の釣り場を譲ってもらいました。 

今日の仕掛けです。
道具立ては全く昨日と同じですがウキは3Bから2Bと少し軽くしました。
また、潮受けゴムはやめてサルカンとウキの間には小さい緑色のクッションゴムだけとして仕掛けをシンプルにいたしました。
エサ取りが見えましたのでタナも3ヒロ半から始めることにしました。

足もとにマキエをまいて第1投です。
足もとにウキを引き付けて仕掛けが馴染んでから道糸を緩めますとウキは右側のサラシに引かれて右に出て行きます。
サラシの近くまで流れますとサラシに押されて潜っていきます。
しばらくして仕掛けを回収いたしますとエサが着いてきました。
エサはとられなかったですが、ウキの流れ方から釣れそうな予感がいたしました。

私は50cmほどタナを深くして再度足元にウキを投入いたしました。
ウキが3mほど流れて少しシモッタあと加速をつけて沈みます。
これはアタリと合わせますと魚は真下に突っ込みます。
これはグレかもしれないとやり取りをします。
そう時間を掛けずに上がって来たのはシマダイです。
私は自分でタモを出しました。
このシマダイは39cmでした。

 

2投目に釣れたシマダイ39cm



グレではないですが、まあ持って帰れる魚が釣れましたので私は気が楽になりました。
この魚はシメて磯クーラーに入れました。

その後3回ほどウキが入るけれども空振りが続きましたが4回目に魚が掛かりました。
今度は良く引く魚です。
頭を振らずに沖に走りますので何の魚かなと思いましたが、ゆっくりとやりとりをして水面に浮きましたのは良型のグレです。
今年初めてのグレですので私は慎重にタモで掬いました。
このクチブトグレは46cmでした。
8時までに2枚魚が釣れましたので今日は何匹魚が釣れるのかと期待してしまいます。


朝8時過ぎに釣れたグレ 暑かったのでもうカッパを脱いでいる
後ろに見えているのが歩いてきた釣り人



今日は潮も流れますしエサも取られますので楽しい釣りです。
隣のM君は沖を釣っていますがアタリが出ないようです。
M君は10mほど沖に仕掛けを入れていますので仕掛けはサラシに押されて左に流れますが、私は足元に仕掛けを入れていますのでサラシに向かって右にウキが流れます。
私のウキとから5mほど沖にあるM君のウキが違う方向に流れるので何とも奇妙な感じです。
釣の結果は今のところ昨日とは逆になりました。 
私はグレを釣りましたので飲み物を飲んで少し休憩しました。

足もとから沖にでるサラシに仕掛けを入れますとウキは沖に出てからゆっくり右に流れて勢いよく入ります。
これはがっちりと合わせられました。
足もとで突っ込む魚をやり取りしながら浮かせてきますとなんだか白い魚です。
ボラかなと思いましたが引きが違います。
足もとに浮いた魚はチヌかと思いましたがよく見ますとヘダイです。

 

ヘダイ38cm


この魚はM君がチヌよりはおいしいと言いますので持って帰ることにいたしました。
私には3匹持って帰る魚が釣れましたがM君はエサが取られるだけということです。
私にしか釣れないということは、この広い磯でも釣れる場所は限られているということでしょうか。 

この磯の40mほど沖は本流が速い流れで左に行っています。
このワンドの中は沖の本流に引かれるようにサラシから流れが左に出ていますので、サラシに向かって右の流れと本流に引かれる左の流れがありますが、本流の速さによってワンドの潮の流れも変わるようなのでほとんど1投ごとにウキの動きが違うような感じです。
また、たまに目の前に鏡もできますが鏡ではハリスが浮いてしまいます。
このような複雑な潮の流れの中をどうやって魚は泳いでいるのかと思うと不思議な感じがいたします。 

M君は沖で左に流れるサラシの中を釣っていますが、どうも仕掛けが浮くようなので仕掛けを変えたようです。
オモリを増やしてハリスにもオモリを打ったということです。
沖に投入したM君のウキはサラシに押されて左に流れて沈んでいきます。
穂先でアタリを取っていたM君が竿をしゃくりますと魚が掛かりました。
私と同じ竿のアテンダーU、2号をM君は使っていますが何が掛かったのかと思うくらいよく曲がります。
上がって来たのは40cmほどの丸々と肥えたイサギです。
「イサギですね。これはいいお土産ですね」と声を掛けますと「沖の流れで初めて釣りました。今回は考えた仕掛けで釣りましたよ」と声を弾ませます。
M君は立て続けにイサギ2匹を追加しました。
我々は魚が釣れましたので交代でおにぎりやパンを食べて話をしながら釣りをしました。
釣というものはやはり二人とも釣果があると楽しい雰囲気になりますね。 

「あとはオオモンハタを釣りたいです。それで完璧ですわ」と言いましたら磯際を右に流れていたウキが入り33cmほどのオオモンハタが釣れました。
M君は沖を流して30cmのグレを釣り上げて放流し、35cmのグレを1匹釣って持って帰るようです。
私には足元でウキが鋭く入り30cmほどのサンノジも釣れました。
水温も海の状態もきっと昨日よりは良くなったのではないかと思います。
私はいろいろ魚も釣れて今日は楽しい1日だったなと思いました。 

時刻は12時ごろになりました。
私の左奥の磯では朝から竿を出していた、歩いてきた石鯛狙いの釣り人が磯に下りてマキエの貝を採っています。
足もとにウキを落として磯際を流しながら貝採りをしている釣り人を見ていましたらいきなり竿が引っ張られました。

竿が曲がった瞬間にドラグが滑ってジャーという音とともに糸が出ます。
私は自分でも気が付かないうちにリールのレバーを押さえてリールをフリーにして竿をたてました。
これは大物の引きです。

竿を立ててリールのレバーを押さえて竿で魚を止めようとしますが、リールのドラグが滑って糸が出てしまいます。
これはどこまでも糸が出るとおもい右手でリールのドラグの調整をしました。
M君に「おい来たぞ」と声を掛けます。
振り向いたM君は私の竿の曲がり具合を見てビックリしたようです。
「ゆっくりやってください」と声をかけてきましたがすぐに竿の曲りは無くなりました。
仕掛けを上げますとハリスがザラザラになって1/3ほどのところで切れていました。
もう少し強引に勝負すべきだったか、ドラグの調整が緩かったかなど悔やまれますが、今日はシマダイでもグレでもヘダイでもドラグは滑らなかったので、やはり相手が大きかったのだと思います。
あと、貝採りのおじさんを見ていて魚に先手を取られたこともバラシの原因かと思われます。
やはり油断禁物ですね。
でも今回はギューンブッツンではなくて、竿を立てられたので5秒ほどは魚の引きを味わえました。
やはりリールにドラグの機能がありますと、少しは長い間持ちますね。
この5秒間は後で何度も思い出すことだと思います。
私にはギュッと中身の詰まった5秒間でした。

朝から同じところを何度もウキを流しているのに、見ていない時に限って大物が来るというのは不思議ですね。
よそ見をしていたのできっと殺気が伝わらなかったのでしょう。 

その後ハリスを張り直し、気を取りなおして釣りを再開いたしました。
お昼からは潮が左に流れるようになりました。
M君は左側を向いて39cmのシマダイを釣り上げました。
そのあと私は足元でウキが入り今度は40cmのオオモンハタを釣り上げました。
この魚はごちそうです。


 

1時前に釣れたオオモンハタ40cm

やがて1時半になりましたので我々は道具をしまいました。 

今日の釣果です
M君はグレ30cm1匹放流,35cm1匹持ち帰りイサギ40cm前後3匹、シマダイ39cm1匹
私はグレ46cm1匹、シマダイ39cm1匹、ヘダイ39cm、オオモンハタ33,40cmの2匹
そのほかサンノジやカワハギも釣れましたし、ハリス4号も切られましたので楽しい1日でありました。

M君は「あの大物の引きを楽しみにしてハリス4号を掛けているのに私には来なかった」と言って羨ましそうにしています。
私は昨日ボーズでしたが、「今日こそ釣るぞ」などと力まずに淡々と無欲で釣りをしたので、今日は神様がほほ笑んでくれたのかなと思いました。

やはり2日釣りますと何とかなりますね。
釣りやすい場所を譲ってくれたM君にも感謝です。 

港に帰りますと鼻面岬の「センタン」に上がった釣り人が45cmほどのグレを6枚釣って竿頭になったようです。
私はおいしい魚をお土産にできたので充分満足でした。

さて、これで1年ぶりの武者泊の釣行は終わりました。
1週間ほど前から天気はどうか、水温はどうかなどと楽しみにしていましたが楽しい時間はアットいう間に過ぎてしまいますね。
この辺で今年初釣の武者泊釣行記を終わります。
また、今年も皆様に楽しい釣行記をお届けできればと思います。

 
2日目の釣果です


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