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 上野山さんからのリポート
 「偶然の連続の結果、真鯛を釣る

  武者泊 (愛媛県)
   2018/02/15

 

武者泊の2日目です。

前日は寒くてなかなか寝られなかったので、昨晩は初めから布団2枚を敷いて、上はフリースの上にダウンのジャケットを着て寝ましたら夜中に暑くて目が覚めました。
昨晩は低気圧が接近しているということなので気温はそう下がらなかったようです。
夜中の12時ごろに目が覚めて、それからうつらうつらしておりましたが朝方に深く眠ってしまい、目覚ましで朝6時前に目が覚めましたがなかなか布団から出られません。
よろよろと布団から出て着替えを済ませました。
出船が6時20分ですので、時間があまりないので私は何も食べずに港に向かいました。 

港に着きますと、曇り空で弱い南風が吹いていて今日は暖かい日です。
M君が前日釣りをした「フタゴ」にナイフを忘れたといいます。
なんでも、自分の店で売っていた2万円ほどするナイフが売れ残っていたので、自分で使い始めて2年もたっていないものということです。
がまかつの高価なナイフですので、できれば回収したいということです。

M君は「今日も野地方面に行くのでしたら「フタゴ」に上がる人にナイフを回収してもらうか、「フタゴ」に船を着けたときに一緒に上がってナイフを取ってくるかですかね」といいます。
私は「2日連続で今日もフタゴに上がって、昨日と二人が逆の場所で釣りをすればいいのではないですか」とM君に提案しました。
2日続けて同じ磯に上がるということでM君はすまなさそうに「では、それでお願いします。まずは今日も船が野地島に行くかどうかですね」といいます。 

6時を過ぎて船長が港にやってきました。
今日の釣り人は10人です。
M君が船長に「フタゴに忘れ物をしたので、できれば今日もフタゴに上げてもらえませんか」と聞きますと「他の人たちに釣り場の希望を聞いてきます」といいます。
用意をしている釣り人に乗りたい磯の希望を聞いてきた船長が「今日も野地島方面に行きますのでMさんたちはフタゴに上がれますよ」と言います。
これで我々は2日続けて同じ磯に上がることになりました。 

今日も朝が満潮で昼まで下げの潮ですので、今日は私が潮下で釣ることになります。
今日も左に流れれば、今度はM君のマキエで釣ることができるので、昨日よりは釣れるだろうと私は思いました。 

定刻の6時20分に港を出た船は野地島の船着きに3人組を下して、シモリの岡に1人、イチガハエに2人を下して我々2人がフタゴに上がりました。
フタゴに上がるとM君はさっそく左側に歩いて行ってナイフを回収して来ました。
これでM君も今日は釣れなくてもよいでしょう。

今日は昨日とは逆の並びで釣ります。
私が磯の左側に磯クーラーとバッカンを持っていきましたら、私の竿袋を持ってきてくれたM君が釣り場を解説してくれました。
左側は足もとから切れているが、磯の左から根が出ているので根にハリスが当たらないように気をつけろということです。
また、左の根の前5m位までウキを流しても頑張れば根をかわして魚は獲れるということです。
朝は満潮ですのでタモは届きますが、潮が下がってきたらタモを左下の磯において、魚が掛かったら左に移動して一段下がったところに降りてからタモを入れろということです。


フタゴの左側の釣り場 中央の岩の向こう側でM君は竿を出しました。


今日の仕掛けは昨日と同じです。
ハリス4号を2ヒロ取り、ハリはボイルグレ7号、ウキ下は4ヒロで始めました。
マキエをしながらタモを組み立てますが、マキエは真下に落ちているようです。
今は満潮の潮止まりかもしれません。 

昨日は磯の低いところで釣りましたが、今日は4mほどの高さのところからの釣りですのでウキが良く見えます。
足もとにウキを落としますがウキは流れません。
弱いサラシに押されて少し前に動く感じです。
弱い南風が背中から当たってきますが、磯が高いので道糸に風が当たらないので釣りやすい条件です。
エサが残ってきますし、足元にはエサ取りの魚が見えません。
私は50cmほどウキ下を下げました。
10回ほどウキを投入したでしょうか。
磯際に引きつけたウキが50cmほどシモリました。
ウキを見ているとスーと入っていきます。
これはアタリと大きく合わせますと、合わせた竿は上を向かずに海面に引き込まれます。
リールのドラグが滑ってジーといいながらスプールが逆転して、糸が出ながらもアットいう間に道糸から切れてしまいました。
この間2秒ほどでしょうか。
ウキが足元に浮いてきましたので、私はタモを持って磯際に下りてウキを回収いたしました。

岩の向こう側にいるM君に「大物が掛かって道糸から切れた」と報告します。
いつも言っているように、朝1番はウオーミングアップもかねて40cmほどの魚が掛かってほしいですが、私には初めてのアタリでとてつもない魚が掛かってくるように思えます。
道糸4号を切っていくとは、今日はいったいどんな魚が掛かったのでしょうか。 

タモを出してウキが回収できましたので、私は磯に座って改めて仕掛けを作り直しました。
その後はたまにエサが取られますがいいアタリはありません。
8時ごろになり潮がゆっくりと左に流れだしました。
私は足元でアタリが出ないので沖を釣ろうと思いました。
M君が昨日沖でグレを釣ったことも頭にあります。 

ウキ下4ヒロ半で沖にウキを20mほど沖に投入して、背中から吹く風に乗せてボイルのオキアミをウキの近くに撒きます。
沖には潜る潮があるのか、仕掛けが馴染むとウキが潜っていきます。

2投目にウキが潜って見えなくなってから張り気味にしていた道糸が引き込まれます。
これはアタリと合わせますとこれはグレの引きです。
磯を左側に降りて下に置いておいたタモで魚を掬います。
釣れたグレは37cmでした。
このサイズでは私でも難なく取り込むことができます。
この魚はボーズ逃れのためにキープいたしました。 

これで今日はボーズを免れたということで私はパンを食べながらM君のところに行きました。
「沖で4ヒロ半から沈めてグレが釣れたよ」と報告します。
M君は朝釣り始めてから間もなくして、いいアタリがあったけれどもやり取りの途中に足元でハリスから切れたということです。
M君は何とかして足もとの魚を釣りたいということで、足元を釣っているようです。

 
9時ごろに釣れたグレ 37cm

パンを食べ終わった私は沖にマキエをして、再度ウキを20mほど沖に投げました。
仕掛けが馴染みウキが沈み始めましたので、糸を出すためにリールのベールを開けようと思い、リールを見たときに竿が引っ張られます。
あわてて少し糸を出して竿を起こしますとこれもグレのような引きですが、掛かった魚は先ほどよりは大きいようです。
完全に先手を取られていますので魚は深く潜ったようです。
ゆっくりと魚を寄せてきますが、魚は朝M君が言っていた左の根に向かって竿を引き込みます。
竿を右側に倒せば大丈夫と思ってやり取りをしていましたら、ハリスが切れてしまいました。
どうも海の中の見えないところで根が出ているのではないかと思われます。
この場所もなかなか難しい場所です。 

私はとりあえず沖でアタリが出ているので沖を釣ろうと思いました。
3Bのウキでは仕掛けが馴染むのが遅いので私は5Bのウキに変えました。
この方が大分早く仕掛けが落ちます。
5Bのウキに4Bのオモリを着けましたが、こんどはウキが浮きすぎて潜らないのでアタリが出ません。
私はサルカンの上にジンタンオモリを2個付けて仕掛けが馴染むとウキが潜るように調整いたしました。
沖にウキを投げますがエサが取られなくなりましたので、だんだんとウキ下を深くしていきました。
竿2本までウキ下を深くして、そこから沈めるようにしますとエサが取られます。
エサを着けて仕掛けを投入し、仕掛けが竿2本分落ちて次にウキが潜り始めてからしばらく流しますので、再び仕掛けを回収するまでにかなり時間がかかる釣です。 

沖に仕掛けを投入してM君を見ると魚が掛かっています。
仕掛けが馴染むのに時間がかかりますので、リールのベールをオープンにして糸を出して、竿を持ったまま磯の右側に行きますとM君が魚を取り込んでいます。
横で見ていて良型のグレかと思いましたが取り込んだのは40cmほどのサンノジです。
「40cmほどの魚ですがハリスが傷ついています」とM君が言います。
「やはり私が釣った右側はやり取りが難しいでしょ」と話していますと私のベールオープンにしたリールから勢いよく道糸が出ます。
これはアタリと思いリールのベールを閉じて合わせますが、あわてていてちゃんと閉じていなかったので再度ベールが開いて道糸が勢いよく出てしまいます。
もう一度ベールを閉じて、道糸がローラーのところにあるかどうか確認してたるんだ道糸を巻きますとさいわい魚はついていますが、この不手際で相当深く潜っていることと思います。
ただ直前までM君と話していた私は磯の中央の高い場所に立っていますので、左右の根から離れています。
この場所では少々魚が潜っても獲れるかなと思いました。 

リールを巻きますと掛かった魚は大きいようですがそう鋭い引き込みは有りません。
今回の魚も左の根に入ろうとしますので竿を右側に倒します。
魚は重いですが引く力がそう強くないので、ゆっくりと竿で起こして魚を寄せます。
しばらくしてウキが見えてきました。
やはり魚は深く潜っていたようです。
海の中からうすぼんやりと上がってくる魚が見えます。
「なんだか白い感じです。グレではありません」と見ているM君に言います。
やがて海面に浮いてきましたのは良型の真鯛です。

「真鯛でした。これは知り合いの居酒屋にあげますかね。そっちに持っていくのでタモを入れてくれませんか」と言って私は真鯛をM君の前に持って行ってタモを入れてもらいました。
釣り上げた真鯛は58cmでした。
やはりグレに比べれば真鯛は引かない魚ですね。
ドタバタしましたが今回は釣の神様が、あまり釣れない釣り人に対してすこし微笑んでくれたのでしょう。

 
10時半頃釣れた真鯛 58cm

その後はまたエサが取られなくなりました。
私はさらにウキ下を深くして竿2本半からウキを沈めました。
タナを深くしてから3投目に道糸が走り今度はイサキが釣れました。
今度もM君と話していて釣れましたのでM君にタモを入れてもらいました。
このイサキは40cmほどありました。
この釣り方はタナが深いので、仕掛けが馴染むまでに時間がかかります。
私は仕掛けを投入するたびにM君の見えるところまで行ってM君と話しながら釣りました。
イサキが釣れましたが道糸が走るのが魚のアタリですので、ウキが入るところが見えない分、釣りとしてはそう面白くありませんね。
ただ、太ったイサキはお土産には良いと思います。

 
 竿2本半で釣れた太ったイサキ 40cm

私はイサキを2匹釣り上げてから、お昼の潮替わりには足元でグレを狙ってみようと思い12時前にタナを4ヒロに戻して足元を狙ってみましたが、エサがたまにとられるだけです。
12時ごろにM君はオオモンハタの40cmを1匹釣り上げました。
潮が変わって右に流れだしましたので釣れそうな感じは致します。
足もとでシモッたウキを見ていますと緩めた道糸がピンと張り、ウキが沈むと同時に竿にアタリが来ます。
最初はどんなに大きな魚かと思いましたが、途中からすんなり上がって来ましたのはフエフキダイの子供のような魚で25cmほどです。
こんなサイズの魚でも足元の釣りでは最初は強烈な引きを見せます。
もう一度足元でウキが入り今度は30cmほどのオジサンが釣れました。
この2匹の外道は放流いたしました。 

どうにもグレが釣れる感じがいたしませんので、私は少し休憩をして飲み物を飲んでからウキ下を再び竿2本半まで下げました。
M君は「今日は海の条件が昨日とは変わっていてグレが釣れないのですかね」と言っています。
M君はまだグレが釣れません。
私にもグレのアタリはありません。
「まあ、真鯛が釣れるときはグレが釣れない潮ではないでか」と私は言いました。

1時20分ごろになりエサが取られなくなりましたので私はさらに60cmほどウキ下を下げました。
タナが深いので仕掛けを巻上げますと、ウキ止めの糸がリールのスプールの中にかなり入っています。
こんなに深いタナで磯からフカセ釣をするのは初めてかもしれません。 

お昼前から低気圧が大分接近してきたのか、弱い雨もふりだし南風も強まってきました。
M君は一足先に道具を片付けています。
右に流れていたウキが潜りだして一息おいて道糸が走りました。
最後にイサキを釣り上げて、1時半に私は釣を終了しました。
「今日はグレボーズでした。何度か魚は掛けたのですが根ズレで切られました。フタゴは難しい磯です」とM君が言いますので「まあ、昨日磯に忘れたナイフを取り戻しただけでもグレ5匹分以上の値打ちがあるのではないですか。」と私は冷やかしました。 

今日の釣果はM君がオオモンハタ40cm1匹、私はグレ37cm1匹、真鯛58cm1匹、イサキ38cmから40cm3匹でした。
なんとか天気も持ちましたし、半日磯の上でM君とあれこれ話しながら釣りができましたので、私にとっては今日も楽しい1日でありました。 

今日は思いがけずに真鯛が釣れましたが初日の釣行記に書きましたように、私は車の中で真鯛を釣り上げる夢を見ているのです。
夢が現実になるとは自分でも偶然に驚いております。
でもM君が前日にフタゴにナイフを忘れなければ、私はフタゴで真鯛を釣ることもなかったわけですので、真鯛が釣れたのは偶然の連続の結果とも言えそうですね。
夢がこの結果を暗示していたとすれば、M君が磯にナイフを忘れたのも神様のお導きでしょうか。
この真鯛が釣れたのは何とも不思議な巡り合わせだなと、家に帰って布団に入ってから思いました。
この調子でいけば60cmの尾長グレが釣れる夢を見れば実現するかもしれませんね。 

私の今年の釣りは初回ボーズの後は、何とか1匹ずつですが毎回グレを釣り上げております。また次回も神頼みでボーズ逃れの魚が釣れるとよいのですが。
次回も楽しい釣りができればと思います。

 

2日目の私の釣果




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