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 上野山さんからのリポート
 「目の覚めるような沖の島アタリ

  沖の島 (高知県)
   2020/01/03

 


昨年の12月28日の土曜日は、低気圧が通過した後で風が弱まるものの、海のウネリはまだ残っているという日でしたので、ゴロタ浜のチヌ釣りに行きました。
場所は10月に釣行して糸を切られた河野海岸に午後1時過ぎに行き、夕方まで粘りましたがボーズでした。
たまに頭からしぶきをかぶるようなウネリもあり、風もそう強く吹かなかったので、チヌ釣りには絶好の条件でしたがウキが入ると上がってくるのはフグかベラでした。

年末の休みに入り、いつも神津島に行くFさんと正月は釣に行くのかという話をしましたら、1月の3、4日で四国に行こうということになりました。

31日の昼にサンスイ釣具店に打ち合わせに行くと、ご主人が「音海では40cmオーバーのグレが良く釣れているようです。
私が行った日は南風のべた凪でしたので空振りでしたが、北風で海がざわついている日なら良い型のグレが釣れるようです」ということですが、我々はすでに心が四国に飛んでいますので、音海のグレはパスするということになりました。

サンスイ釣具でFさんと、御五神、武者泊、中泊、鵜来島か沖の島のどこにしようという話になった時に、Fさんが行ったことのない沖の島に行こうということになりました。
早速今回は以前お世話になったことのある岡崎渡船に連絡を入れました。
電話をいたしますと正月の混んでいるなか、うまい具合に3,4日の予約と3日の宿が取れました。
磯の回りは初日がムロバエで2日目が姫島です。
宿泊は港の近くの「おきのしま旅館」ということです。

久しぶりにリールに4号の糸を巻き、あれこれ服装を考えて、1泊分の荷物をリュックサックに詰め込み、ハリや道具の点検をするうちにあっという間に2日の午後となりました。

今回の道糸はサンラインの緑色の4号としました。
ハリスはシーガーエースの4号と3.5号を使うことにします。
ハリはザロックの7,,9号を用意いたしました。

2日は午後の3時にサンスイでFさんと待ち合わせて四国の宿毛に向けて出発です。
私はボイルのオキアミを5枚持つことにいたしました。
Fさんはアミエビも持っていくようです。

2日の午後は渋滞にも合わずに、湖西道路を通り京都東インターから高速に乗り、淡路島を抜けて順調に夜の11時過ぎに宿毛の片島港に到着いたしました。
ここまで敦賀から640kmほどの道のりでした。

港は釣り客の車でいっぱいです。
我々はまず港に停泊している岡崎渡船の船にクーラーとバッカンを積みました。
船のところにいた釣り人に聞きましたら今日の岡崎渡船のお客さんは27人ということです。磯に下りるのは泊り客が優先ですので、ムロバエ周辺は無理でも、我々はどこかで竿が出せればよいと気楽に考えていました。
我々は少し離れたところに車を止めて車の中で寝袋を出して仮眠しました。

朝5時半に出船ということですので目覚ましは4時50分にセットしましたが寒くて4時には目が覚めてしまいました。
5時過ぎに竿を持って船に行きますと船長から「上野山さんですね」と声をかけられました。「そうです、よろしくお願いします」と言いながら、岡崎渡船の船長の顔はどうも見覚えが無いと私は思いました。
後で敦賀に帰ってから「ぐれねっと」の釣行記で確認しましたら2003年の1月に管理人の下山さんと沖の島に釣行したときの渡船は金子渡船で、船長が岡崎さんという名前だったのです。
今でも金子渡船さんはありますので、私の思い違いで岡崎渡船さんに予約をしてしまったようです。
いずれにしても、金子渡船さんで沖の島に釣りに行ったのはもう17年も前のことなのですね。
私はその時に下山さんと二並びの東のハナに上がって、ハリス5号でオナガグレの50cmを釣り上げています。
その時以来50cmのオナガグレは釣っていません。

60歳を過ぎてからは、若狭で40cmオーバーのグレを釣ることと、50cmオーバーのオナガグレを釣ることを目標に釣りをやっていますが、昨年、一昨年と40cmオーバーのグレは若狭、越前で釣りあげていますので残る目標は50cmオーバーのオナガグレですが、これは四国か神津島でないとかなわないことですね。

我々は船のキャビンの椅子にならんで腰を掛けました、船は5時半を10分ほど遅れて港を出ました。
40分ほど船に揺られますと沖の島に到着して泊りの釣り客を乗せます。
天気は晴れですが、強い北風が吹いています。
船は港を出てすぐの地磯に着けます。
後で聞きましたらこの磯は「カモヒメ」というそうです。
北風が正面から吹き付ける中、泊り客が下りて行きます。
この風の中釣るのは大変と思いますが、ここに下りるからには釣れる磯なのでしょう。
その後船は風裏になる「大バエ」、「オオナダレ」周辺の磯に10人ほどを下して沖のムロバエに向けて走ります。
ムロバエでは風の強い中を6人下しました。

後は船に残っているのは5,6人になりましたので一人で来ている方に聞きましたら、船長が磯を決めてくれますが、船室にいてはマイクの声が聞こえないので舳先に行かないとだめですよと言います。
私が舳先に行って船長と話しましたら「上野山さん。この次に下りてください」ということですのでFさんと急いで荷物を前に運びます。

我々は、風裏になる「ノコバエ」の空いた場所に下してもらいました。
「ノコバエ」は岡崎渡船の磯割の区域ではないので、我々の場所は当然よい場所ではありませんが、風裏になるのでここで十分です。
この場所でも万が一オナガグレが当たってくることも考えられます。
「ノコの2番」がすぐ横に見えていますので、この場所は「ノコの西」よりさらに陸寄りの磯です。
たぶん、磯図では名前の無い場所ではないかと思われます。

「ノコバエ」に下りるのは2002年の1月に下山さんと「ノコの2番」に下りて以来ですので実に18年ぶりです。
その時の釣行記はNo55「あの強烈なやつは何ですかね」です。

Fさんと風が強い中こんなに風の当たらない場所に上がれただけでもラッキーだと話しました。

 

我々が下りたのは、ノコの西よりもさらに陸側の磯です。


私が船を着けてもらった少し高い場所から竿を出し、Fさんはその左隣の足元に貝の付いている場所から竿を出しました。
足もとに貝がついていますので、Fさんの場所は潮が満ちてきたら移動しなくてはなりません。
海の中を見ますと、左側に根が張り出しています。
右側も底の方にうっすらと張り出した根が見えますので、大きいのが掛かったら取り込むのは難しい磯です。 

私の今日の仕掛けです。
竿はがまかつアテンダーUの2号。
リールはシマノのレマーレ、道糸はサンラインの4号にハリスはシーガーエース4号、ハリはザロックの8号としました。
ウキは釣研の小粒の3Bを使います。
サルカンの上にミドリ色のクッションゴムをつけてその下に2Bのオモリを噛みつけます。
ウキの遊動を60cmほどとしてハリスは1ヒロ半とします。 

オキアミを撒きますとゆっくりと沖に出ますが潮はそう流れないようです。
小潮でお昼が満潮ですので、今からゆっくりと潮が上がってくることになります。
1投目から着けエサが無くなりますのでエサトリの活性は高いようです。
Fさんも着けエサがとられているようです。
潮ははっきりせずに右に行ったり左に行ったりします。
着けエサは1回も残って来ません。
私はウキ下を少し浅くして2ヒロ弱としました。

8時過ぎに竿1本ほど沖を流れていたウキが勢いよく入ります。
私はこのウキの入り方はグレでは無いなと思いながら合わせを入れました。
最初はかなり引きましたが、すぐに魚は浮いてきました。
これは30cmほどのサンノジでした。

 
朝8時ごろ釣れた サンノジ

サンノジが釣れた後はまたエサがとられる時間が続きます。
私はマキエを沖に撒いて沖にウキを投げましたが、沖でもエサはとられます。
このところ水温は20度を切っているということでしたが、このエサトリの元気な様子では水温が上がったのではないかと思われます。 

9時過ぎになり、潮がゆっくりと左に流れだしましたので、私はウキを正面に投げました。
ウキはFさんの前あたりに流れますが、ここはもう張り出した根の先です。
根の5mほど沖でウキが入り合わせを入れました。

合わせた瞬間にこれは獲れんと思う引きが来ました。
合わせた瞬間にはリールをフリーにしていましたので、竿をのされてリールがすごい勢いで逆転します。
私は思わず「次は何をするのだっけ」と思考が止まりました。
猛然と逆転するハンドルを見て、我に返ってレバーブレーキを握りしめますと今度はドラグが逆転してジャーと糸が出ます。
竿は起こせずに海に向かったままです。
この態勢ではどうあがいても魚は獲れそうにありません。
左の根に道糸がこすれないように、両手で竿を持ってなるべく竿を沖に突き出すことくらいしかできません。
この場所はかなり深いのでしょうか、糸はずいぶん出ました。
もう5秒はたったなという頃に、糸が根に擦れるような感触が伝わってきました。
魚が止まりましたので竿で聞いてみますと、どうも仕掛けが根に引っかかっているようです。ゆっくりと引っ張ってみましたらすぐに道糸から切れてしまいました。
ウキの上から切れたようで、ウキは浮いてきませんでした。 

まさに目の覚めるような沖の島アタリが来ました。
そういえば、以前下山さんと「ノコの2番」で釣りをしたときも、道糸が切れてウキが飛んでいくような強烈なアタリが来たことを思い出しました。
横で見ていたFさんが「今日はもう十分でしょう。いい目をしたのでもう釣れなくてもよいのでは」と声をかけてきます。
こんな穏やかな海でこれほど強烈なアタリが来るとは、やはり沖の島はすごい場所ですね。
日本海では味わえない、目の覚めるような久しぶりの大物のアタリで次の動作を忘れてしまいました。

私は、竿を起こしてリールのブレーキを使って魚とやり取りする手順を一から思い出しました。
リールのドラグは勢いよく逆転しましたので、1目盛りほど固めに調整いたしました。
もう1回来てもとても獲れるような引きではありませんでしたが、私は大物にそなえてウキを投入した後は竿を左手に持って、人差し指をブレーキにかけて態勢を整えていました。 

10時ごろになり弁当を配りに船が来ました。
磯で弁当を食べるのは久しぶりです。
ここの弁当はオカズも多くて全部食べると胃もたれしそうです。
弁当船では、あまりグレは釣れていないと船長は言っていました。
我々は風の当たらないところで竿を出せるのでそれで十分でした。
その後12時ごろに足元でタカノハダイが釣れて、その後は私にはアタリはありませんでした。

 

12時ごろに釣れたタカノハダイ


Fさんは潮が込んできましたので、磯を右のほうに移動して沖にウキを投げて40cmほどのイサキを3匹釣り上げました。
タナを聞きますと3ヒロからウキを沈めているということです。
私もウキ下を3ヒロ半ほどにして沖にウキを投げますが、イサキのアタリは無くエサがとられるばかりです。

お昼すぎに、表側で釣っている40歳くらいの釣り人が「どうですか」と聞いてきましたが私は「サンノジと大バラシです」と答えました。
「最近はヒラマサも回っているみたいですから、ヒラマサかもしれませんね。私はクエ狙いですが、ウツボしか釣れません」と言っています。
このあたりはクエもいるのですね。
その後は私にもFさんにも何のドラマもなく2時半になり渡船が迎えに来ました。

今日の釣果は、私はボーズで大バラシ1回、Fさんは40cmのイサキ3匹という結果でした。

港に帰りますと泊り客は我々を入れて2組です。
沖の島渡船のお客さんもこの旅館に泊まるようです。

渡船に預けた我々の荷物は部屋に運んでありました。
船に積んであった我々のエサと氷の入ったクーラーは旅館の前に並べてありますので、こんなに楽なことはありません。
まさに釣り人天国のようなシステムです。
「クーラーは下でいいのですが、念のために竿は2階に上げておいてください」と旅館の方に言われました。 

 

釣り人の天国のような「おきのしま旅館」 船着きまで10mほどだ


明日の分のマキエの準備を済ませて、我々は風呂に入って5時から旅館のご飯を頂きました。前回来た時もここの食事はおいしかったと覚えていました。
今回は刺身とてんぷらに、島で獲れたというイノシシの鍋料理でした。
薄切りにしたイノシシの肉は脂身がおいしくて絶品でした。
この旅館は港に近くて、料理がおいしくて1泊2食で料金は7500円と格安です。 

食事が終わって横の若い2人組に明日はどこが希望ですかと聞きましたら「我々は明日が3日目です。カバが希望の磯です」と言います。
私は「姫島ではどこがいいかな」と言いましたら、給仕をしているこの旅館のご主人に聞いてみてはと言います。
ご主人に尋ねますと「姫島ではヨウチエンですかね」と言います。

我々は泊りの権限で明日は姫島の代表的な磯の「ヨウチエン」に下りることにいたしました。2人組の若者に「船長には船に乗る時に希望の磯を言えばよいのですか」と聞きましたら「その通り」だということです。 

Fさんが部屋に帰った後に2人組に「今日はどこで釣りをしたのですか」と聞きましたら
「カモヒメです。
向かい風の中グレを6枚とイサキを5,6匹釣りました。やはり向かい風でも波が無いと釣れないと思います」ということです。
彼らは最初に着けた地磯のような磯で竿を出していたのでした。
二人とも30歳過ぎに見えます。
やはり若いと向かい風で潮をかぶってでも釣る元気があるのですね。
二人はサンラインの揃いのカッパでしたのでクラブに所属する釣り人かもしれません。 

「ハリスは何号をお使いですか」と聞きましたら「だいたい2号です。1.75~2.5号の間ですね。道糸は2.25号です」ということです。
私は最近の若い釣り人の糸は細いなと思いました。
「どちらから来ているのですか」と向こうから聞かれて「福井県からです。車で8時間近くかかります。冬は四国か伊豆の神津島に行きます」と私は言いました。
「それは、グレ釣りが好きな方ですね」と若者が言いますので「神津島には年に2回ほど行きますが、私はこのところハリス5号を使っています」と言いますと二人はビックリしていました。
ハリス2号で磯釣りをしている方には5号はとんでもない太さの糸でしょうね。 

明日は姫島回りです。
明日も晴れて北西の風が強そうですが、姫島の南側は風もそう当たらないと思いますので、明日も気楽にのんびりと釣りをすることができると思いました。
私は部屋に帰り布団に横になりましたが7時の天気予報の前に眠くなって寝てしまいました。

今日は初日から沖の島アタリが来ましたが、明日こそはグレを釣りたいものです。
出来ればオナガグレを。
 

 
部屋に灰皿と一緒にあった「おきのしま旅館」のマッチ いかにも昭和な感じだ


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