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 上野山さんからのリポート
 「大物外道は容赦なかった

  武者泊 (愛媛県)
   2020/01/30

 

武者泊の2日目です。

昨日の朝はカップラーメンでしたので、今日はソバとしました。
食事を終えて港に行きますと、今日のお客さんは11人でした。
6人組のグループが野地島の船着きに上がりたいということですので、今日も野地島方面です。
支度を済ませて荷物を船の前に移動していると船長が「どこに乗る」と聞いてきます。
M君とは人がいなければ「シモリの丘」と「丸バエ」に分かれようということにしていましたが、人数が多いので、M君の過去の成功体験から「シモリの丘」と言ってしまいました。

野地島に向かった船はまず4人を船着きに下して、次に「シモリの丘」に向かいます。
船長は波を見て「あんたら大丈夫かね」と言いますがM君は自信ありげに「大丈夫です」と言って荷物を舳先に持っていきます。
船着きに私が先に下りて荷物を受け取ります。
船着きの波の来るところをよけて渡り、シモリ側に向かいますがシモリが隠れて見えません。M君は「今日はこの後潮が引きはじめたら船着きでやってみます」と言っています。
磯に上がった時は、まだ干潮でこれから10時過ぎの満潮に向かって潮が満ちてくるはずでしたが、M君は勘違いをして「これから潮は引きます」と言います。
私は一瞬おかしいなと思いましたがM君が言い切りますので「これから潮が引き始めると思い、磯の左側の低いところで竿を出しました。

 

シモリの丘 最初に竿を出した場所

今日は晴れていい天気です。
北西の風も昨日よりは吹かないようです。

道具立ては昨日と同じでハリス3.5号でウキ下は2ヒロ半で始めました。
ウキはBです。

今日も1投目から着けエサがとられます。
私は30cmほどウキ下を浅くしました。
磯の左向きの足元を釣っていましたが、1時間ほどすると、だんだん波が来てバッカンを上の方に移動しなければならなくなりました。
私は昨日満潮が10時過ぎだったことを思い出しました。
最初、私の右側で釣りをしていたM君も「これから潮が上がってくるのでした。磯に下りたときに満潮のように錯覚しました。この場所は波が来るので移動します」と言って釣り場所を船着きの岩を回ったところに移動しました。

この1時間ほどはエサがとられ続けましたが、8時ごろになりエサが残るようになりました。
私は沖向きのサラシも釣ってみますが、なにも釣れません。
9時ごろになり、エサが残りますのでウキ下は3ヒロに深くしました。
この頃からウネリも出ましたので、バッカンや荷物を高いところに移動します。
足もとからはウネリのためにサラシが左前に出ます。

私はこのサラシに乗せて沖を釣ろうと思いました。
マキエをサラシに打ちウキをサラシに投入して、仕掛がなじんだころにさらにマキエをウキめがけて投入します。
ウキは流れに乗って左の沖に出て行きますが、太陽の光でウキはほとんど見えません。
それに20mほど流れたウキは沈み始めます。
私はリールのベールをオープンにして、糸を出しながら道糸が走ればアタリだというように構えていました。

3回ほど空振りをしたでしょうか。
着けエサは頭だけ取られて上がって来ます。

4回目も同じように20mほど流れたウキが沈んで間もなく、リールからすごい勢いで道糸が出て行きます。
これはアタリと合わせますが、かなり糸は出ているのに竿が立たずに海面と並行くらいにしか立ちません。
これは竿が伸されているというのでしょう。
ブレーキを緩めますと猛烈な勢いでリールが逆転します。
魚を止めようとブレーキで逆転を止めますと今度はドラグが逆転してジーと糸が出ます。
逆転を止めた拍子に道糸がちゃんとローターにかかっていなかったのか、またもやベールが開いてしまい道糸が出放題に出てしまいます。
あわててベールを閉めますが、この時に逆転するリールのハンドルで右手の小指を打ちつけてしまいました。
魚はまだついていますので、私は急いで磯の左側の根の切れたあたりに竿を持って走っていきました。
竿をあまり立てずに魚とやり取りをしますが、魚はいったん止まったものの竿で引きますとまた走ります。
ここまで10秒以上はやり取りしています。

掛かった魚はもちろんグレではありませんがとてつもなく引く魚です。
ここで足元にウネリが押し寄せて、後ろに回った波に押されて思わず磯の前のほうによろめきそうになります。
磯の端でやり取りしていましたので、ここはこらえないと海に落ちてしまいます。
私は何とか踏ん張りましたが、この場所は危ないので4歩ほど磯の上の方に移動しました。

しかし、次に魚に走られたときには、急に道糸が緩みました。
かなりリールを巻いてからウキが出てきましたので5,60mほど魚は走ったのではないでしょうか。
魚とのやり取りは20秒近く続いたように思います。
仕掛はハリスの中ほどで切れていました。

やり取りの途中で、一瞬この魚は3.5号では無理だと思ってしまい、糸を出しすぎたかもしれません。
大物外道にも対応して、できればグレも釣りたいということでハリス3.5としましたが、大物外道はそんなことは許してくれませんね。
大型の魚に容赦なく糸を引き出されて切られてしまいました。
やはり「大型外道バラシネット」にでもタイトルを変えたほうが良いのではないでしょうか。しかし、私は毎日糸を切られますね。

竿を置いて私はM君に大型の魚に切られたことを報告しに行きました。
岩を回った船着きで竿を出していたM君は「ここはエサがとられません。サラシでウキが戻ってくるのでやりにくいです」と言っています。
M君にシモリ側に戻ってきて一緒に竿を出してはどうかと言いましたら、さすがにこの場所では釣れないと思ったM君は引っ越して来るようです。
私のところに戻ってきたM君はなるべく波の来ないところを捜して、ワンドの奥の方に移動しました。
そこでも、足元は波が来るのでマキエは高いところに置いておくようです。

私は磯に座って休憩がてらハリスを張り直しました。
今度はハリス4号を結びます。

時刻は11時ごろになりました。
移動して2投目にM君の竿が曲がり、グレが釣れました。
このグレは後で測りましたら45cmでした。
彼はしぶとくグレを釣りますね。

私も続いてウキが入りました。
これはグレかなと思わせる引きでしたが、海面近くで明るくみえる魚が浮いてきました。
これもグレではありません。
この魚はサンノジと同じ種類でニセカンランハギという魚です。
私にはなかなかグレが釣れません。

 
 小さいのによく引いたニセカンランハギ

この魚を釣るのは初めてです。
この魚は写真を撮って放流しました。

その後M君は20cmほどの丸ハゲを釣ります。
これは、刺身で食べますと言ってクーラーに魚を入れています。

私はバラした後、急に魚が釣れ始めましたので時合かもしれません。
タナを3ヒロ半ほどにしていますので、Bのウキでは仕掛けが立つまでに時間がかかります。
私は大きめの5Bのウキに交換しました。
5Bのオモリを持っていませんでしたので3Bのオモリに2号のオモリをハリスに噛みつけました。

時刻は12時近くになり、あと1時間半ほどで釣りをやめなくてはなりません。
私はウネリでサラシが出ている磯の右前に仕掛けを入れようと思いました。
サラシの中にマキエを2回投入してサラシが落ち着いたときに、仕掛けを磯際に投入してウキを磯際に引きつけます。
これで、仕掛けが立った状態で磯際を釣れます。
仕掛がなじみましたらまたマキエを打ちます。
5Bの仕掛けですのですぐに道糸は落ちます。
サラシに押されないようにウキを戻してゆっくりと流れに乗せます。
これでマキエの中に仕掛けは入っていると思います。

この釣り方で2回目に投入した時に、ゆっくりとサラシの切れ目を流れていたウキがスパッと入ります。
ウキを浮かして釣っていてのアタリは気持ちいいですね。
合わせますと底に向かってかなりの力で魚は引きますがすぐに糸を出すほどではありません。
アテンダーは大きく曲がっていますが、糸を出してのバラシは午前中に1回やっていますので、何とか竿で耐えるようにしました。
大きく曲がった竿を立てる分だけ少し糸を出して、私は取り込みやすい磯の左側に急いで場所を変わりました。
今度はハリス4号ですので、これ以上1mmも糸は出さないぞという気持ちで竿を曲げてやり取りをします。
M君の前まで行って浮かした魚は43cmの石鯛でした。
この魚はM君がタモを入れてくれました。

 

12時過ぎに釣れた石鯛43cm

私はこれまで、40cm以上の石鯛は釣ったことがありませんのでこの魚は自己記録です。
昨日は石鯛らしき魚に足元で切られていますので、今日は取り込めて何よりです。
ハリスも4号に変えましたので強気でやり取りできました。

石鯛はすぐにナイフでシメました。
ナイフでシメた時に石鯛の血が流れて手につきました。
私は魚の血の温度が低いことに改めて気が付きました。
そして、釣りというのは相手の命を奪う行為なので、おいしく魚を食べなくてはいけないと、いまさらながら深く思いました。

 
 石鯛43cm

その後同じようにサラシにウキを投入して勢いよくウキが入りましたが、この魚も全然止まらずに走られてハリスから切れてしまいました。
今度も合わせた時は1mmも出さないぞとの思いでしたが、容赦なく魚は糸を引き出していきました。
竿が真っ直ぐになりますので思わずブレーキを解除してしまいました。
今回掛かった魚も暴力的に糸を引き出していきました。
2号竿にハリス4号でもなかなか魚は止められないですね。
次回はハリス5号でしょうか。

今回も足元で魚が掛かったのに4,50mは走られてしまいました。
前回の沖ノ島釣行で61cmのカンムリベラを釣り上げて「よし、なんでもこい!!」という気持ちになりましたがまだまだ爆走する魚はいるものですね。

M君が呼ぶので振り向きますと大きく竿が曲がっています。
しばらくやり取りして上がって来たのはアオブダイです。
この魚は測ってみましたら65cmでした。

私はもう1回くらいは来ないかとサラシにウキを投入しました。
1時を過ぎて潮は左沖に流れるようになりました。
ウキが40mほど流れてシモリの沖まで行った時にスーと入ります。
合わせますと魚は掛かりましたが、すぐにハリが外れました。
あんな沖で掛かったのはいったい何だったのでしょうか。

時刻は1時半になりましたので我々は竿を置きました。

今日の釣果です。
M君はグレ45cm、カワハギ、アオブダイ65cm放流、私は石鯛43cm、ニセカンランハギ放流、ハリス切れのバラシ2回という結果でした。

 

我々の釣ったシモリの丘 崖の下なので風が当たらなかった

2日間で私はグレ31cmと石鯛43cm、M君はグレ45cmとカワハギ、石鯛2匹という釣果でしたが、大風の吹く中での釣りでしたので、釣果があっただけでもよかったのではないでしょうか。

港について船頭が他の釣り人の釣果を聞きましたら、野地島の船着きではあまり釣れていませんでしたが、今日も丸バエに下りた釣り人が48cm前後のグレを3枚釣りあげていました。M君と「シモリの丘ではなくて「丸バエ」にすればよかったのでは」といっても後の祭りです。

私は二日間の釣りで3回ハリスから切られました。
ドキドキするような大物とのやり取りも味わいましたし、石鯛の記録更新もしましたので楽しい釣行でした。
グレはようやく31cmが釣れましたので一応ボーズも脱出できました。

翌日家に帰ってグレと石鯛の刺身を食べましたら、石鯛のほうはかなり脂がのっていました。

魚をさばいていた鬼嫁が娘に日本酒を買ってくるよう言いつけて、日本酒を飲んで刺身を食べましたが、久しぶりの日本酒での刺身はなかなかにおいしかったです。
うちの家では昨年の秋にチヌを釣って以来食べる刺身です。
家族3人で石鯛半身とグレ1匹を食べましたが、あまりに刺身が多いのでとてもご飯は食べることはできませんでした。
刺身だけで腹が一杯になってしまいました。
「石鯛はさばいていてこれはおいしいと思ったよ」と嫁が言います。
「石鯛の刺身を腹いっぱい食べることができるのは幸せなことや。なかには石鯛を食べずに一生を終える人もいるかもしれん。また釣ってきてやるわい」と私は何気に次回の釣行も宣言したのでありました。


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