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 上野山さんからのリポート
 「地磯の夜釣りで真鯛を釣った

  左右 (福井県)
   2020/05/25

 


5月23日に泊に釣りに行った翌日の日曜日にサンスイ釣具店に遊びに行きましたら、ご主人が「こうなったら、越前に夜釣りに行って真鯛でも釣るしかありません」といいます。

いままでに私が何回か書いておりますので、「ぐれねっと」の読書の皆さんはご存じのとおり、釣行記に登場するサンスイ釣具店のご主人は高校生の時に46pのグレを越前で釣って以来、40年以上越前若狭では40cmオーバーのグレを釣っていません。
数年前に推定で200連敗はしているのではないかということで、ここ数年の連敗を足して私が勝手に、ご主人は前回のボーズで211連敗目を喫したと書いています。
しかも前回、私が泊の長崎で一緒に釣りをした元サンスイ釣具店バイトのA君によりますと、ご主人は高校生の時に越前で65pのヒラマサも釣りあげているということです。
いま振り返りますと、彼の人生のピークは高校生の時にあったのではなかったかと推察されます。
高校生だった彼は、この先の人生において越前若狭で何匹も40cmオーバーのグレを釣り上げ、メーター級のヒラマサも磯から釣りあげると想像したことでありましょう。
40年前に鼻高々だった釣り名人の高校生の彼は、その後40年に渡ってグレ40pの壁を破ることができずに200連敗を喫するとは想像だにしなかったのではないでしょうか。
人のボーズの話は面白いですが、高校生の時から連続211回の挑戦で40cmのグレが釣れないとなりますと、これは何か運命のいたずらのようにしか思えないのではないでしょうか。高校生で46pのグレと65pのヒラマサを釣るということも、運命のいたずらのような気もしますが。
そういうわけで、サンスイ釣り具のご主人は今年こそ40cmオーバーのグレを越前若狭で釣りあげると決意を固めて釣行しました。
釣れている音海にあえて人の少ない雨の平日に挑戦して敗退、満を持して私と若狭大島に行ったものの、思わぬウネリのために渡船屋の事務所の近くの湾内磯(浜でした)で釣るという不運に見舞われています。
その後私が4月に泊で釣りあげた42.5pのグレの写真をA3版でプリントアウトしてサンスイ釣り具に持っていって、ご主人の座っている椅子の後ろの壁に貼ってもらっているので、ご主人の煮えたぎる気持ちは頂点に達しているのではと思われます。
ご主人は先日越前に釣りに行き、ついに211敗目を喫して「こうなったら・・・・」という発言となったわけです。

日曜日に「月曜日の夜にマダイ釣りに行こうと思うのですが、行きますか」と聞かれましたが、このところ泊によく釣りに行っていますので少し体が疲れてダルイ状態です。
23日に泊で釣りをして中1日で背負子(しょいこ)を背負って地磯を歩くのは大変な気もします。
「月曜日はどんな天気ですか」と聞きますと「南風で波はないと思います。でも夜10時ごろから雨が降るかもしれません」といいます。
私は「月曜日の朝起きて行けそうなら電話をします」といって店を出ました。

月曜日、朝起きますと外は暖かく、南風が吹いています。
腰も痛くないのでこれならば釣りに行けると思いました。
サンスイのご主人と連絡を取り、サンスイ釣り具を4時過ぎに出発することにしました。
仕事は緊急の用事ができたということで、強引に3時に帰ることにしました。
このところのステイホームもありますから、気楽に休めますね。

簡単に支度を済ませてサンスイに4時に行きますと、Fさんも今日休みなので、先に越前の左右(そう)の磯に行って釣りをしているということです。
我々は4時過ぎにサンスイ釣り具を出発しました。

今日、私のマキエはオキアミ1枚だけです。
私の竿はご主人の竿袋に入れてもらいました。
私の分の背負子はご主人から借りました。
まあ、常連客ということでサンスイ釣り具にはいろいろお世話になっています。

前回、左右の地磯にサンスイのご主人と真鯛の夜釣に行ったのは2011年6月です。
その時のレポートは、ぐれねっと釣行記No166「磯でマダイの79cmを掬う」にあります。
越前に夜釣に行ったのは、ついこのあいだという感覚でしたが、もう今から9年も前なのですね。
私は事前に9年前のレポートを読み返しました。
よくも雨が降る夜中に岩を伝って歩くような場所に行ったものだと感心もしました。

今回も前回と同じく道糸4号、ハリス4号と、グレバリ9号、10号を用意いたしました。
9年前にサンスイ釣具店のご主人M君からもらった、ケミ蛍を取り着けられる2号のウキがありましたので、これを出してきました。

道はすいていて、M君の運転で5時ごろに呼鳥門に到着しました。
私は背負子にバッカンと救命胴衣、カッパをくくり付けました。
これから20分近く歩きますのでシャツは脱いでTシャツ1枚になります。
以前来たときは夜中に歩きましたので下が見えませんでしたが、昼ですとこれから行くルートがよく見えます。
かなり高いところも磯際の壁を伝って横に歩かなくてはいけませんので足がすくみます。
溶岩に石が挟まっているところを手がかりにして進むのですが、たまに石が取れることがあるというので、慎重に石を確認しながら進みます。
なるべく3点で体を保持しながら横に進みます。
これはほとんどボルダリングの競技と同じです。
横に歩く難しいところを通り抜けますと、あとは大きな磯を歩きます。
我々は20分ほど歩いて、6時半ごろに釣り場に到着いたしました。
釣場では先に来ていたFさんがグレ釣りをしていました。

私は背負子を下ろして飲み物を飲んで一息つきました。
M君の竿袋から出した竿を受け取りましたが、ここで私はマキエ用の杓を忘れたことに気が付きました。
先に竿を出していたFさんに言って、私はFさんの隣で竿を出すことにしました。
Fさんの隣に私のオキアミの入ったバッカンを置き、Fさんの杓を借りてオキアミを撒くことにしました。

 
越前 左右の地磯 左側の沖磯はウマグリ


今日の仕掛けです
竿はアテンダーUの2号、リールはレマーレ、道糸4号にハリス4号2ヒロ取りました。
ハリはグレメジナ10号でウキ下は5ヒロでスタートしました。

我々が仕掛けを作っていますとFさんが30cmまでのグレを調子よく釣り上げています。
30pのグレは1匹キープしたということです。

仕掛けを作り、6時半になり第1投です。
ウキは風に押されて左に流れます。
20mほど流して仕掛けを上げますと、1投目はエサの頭が取られています。

先に竿を出していたM君がまず25pほどのガシラを釣り上げました。
これはオカズにするので持って帰るといっています。

Fさんが夜釣りの仕掛けに替えるといっていますので、Fさんがウキを入れていたアタリにウキを投入します。
Fさんの杓を借りてオキアミを杓に3杯ウキの回りに巻きます。
オモリが2号ですので5ヒロでもすぐに仕掛けが立ちます。
ウキが1mほど流れるとスッと入ります。
合わせますと魚がかかりました。
竿はすぐにたちましたのでそう大きくはありませんがよく引きます。
足もとに寄せてきたのはマダイでした。
Fさんがタモを入れてくれました。
このマダイは食べごろの38cmです。
私は魚を締めてM君の磯クーラーに入れました。
「マキエ杓を忘れても釣りましたよ」とM君に自慢します。

 
640分ごろに釣れたマダイ 38cm


その後、左側で竿を出していたM君も竿を曲げます。
1匹目は30pほどの真鯛でしたが、2匹目は45cmほどあります。
時刻はまだ7時前であたりはまだ明るいです。
「今日はマダイを釣ったのでもう帰ってもいいのではないの。道が見えるうちに帰りませんか」と私が冗談交じりに言いましたら「こんな場所にはめったに来られませんので、もう少しやります」とM君は言います。

 

M君が7時前に30cmのマダイを釣る


Fさんがようやく夜釣りの仕掛けを作って磯に立った時には、私もM君もマダイを釣りあげていました。
もしかすると、日の落ちる寸前がマダイの時合だったかもしれません。

あたりが薄暗くなってきましたら沖のイカ釣りの船の集魚灯がついて、磯の上はライトをつけなくても物が見えるほど明るくなりました。
船の集魚灯を直接見ると目がくらみます。

M君は暗くなってからもう1枚45pほどのマダイを追加しました。
横でFさんが竿を曲げましたが、これは40pほどのクロダイですので放流しています。

 
沖のイカ釣りの集魚灯がまぶしい

その後はアジが釣れたりしてエサが取られます。
M君も少しウキが入るだけでエサが取られるといっています。
Fさんは「大ダイは足元にいるもんやで」と言って足もとにウキを落としていますがアタリはありません。
私も沖と足元と交互にウキを落としますがアタリはありません。
オキアミの頭だけを取られます。

8時過ぎになって南風が吹き出して、すこし雨が落ちてきました。
相変わらずエサが取られますので、これはマダイが回ってくるまで辛抱して仕掛けを入れるしかないかと思います。

8時半ごろにM君がやって来て「まだやりますか」といいますと、Fさんが「そろそろ帰ろうか」といいますので、我々は釣りを終了しました。

ちょうど雨がやみましたので、私もM君もカッパを脱いでTシャツ1枚になりました。
私たちは道具をしまって背負子にくくり付けて、9時には磯を後にしました。
帰りはヘッドランプで足元を確認して、気を付けながら磯を歩きます。
最後に岩をよじ登るところは空荷で低いところを通り、上から荷物を渡すことにして私が先に通りました。
ここはほとんど足場がないので、つかんだ石が外れると海に落ちそうな態勢になります。
「以前来た時、連れが渡っているときに石がはずれて海に落ちかけたことがあるので石は信用しないほうがいいよ」とM君が言いますが、一瞬は石に全体重をかけないと次の石を持てないので神様を信じて石をつかみます。
私もM君も無事に追加できました。
遅れてFさんもやってきました。

M君は9年前に来た時に比べると膝が痛いし体力も落ちていますといいます。
確かに「ぐれねっと」釣行記で79pの真鯛を持って笑っている彼は、今よりもだいぶん若い感じでした。
もちろん私も9年分歳を取ったのだと思います。

駐車場まで無事に到着しましたら強い雨が落ちてきました。
「いい時にやめましたね。今日は魚も釣れましたのでついていますね」とM君が言います。
我々は強い雨の降る中を敦賀に向けて帰りました。
二人とも9年ぶりの夜釣りでマダイを釣って気分は少し高揚していました。
私は平日の夜に大冒険をしたような気分でした。

サンスイ釣具店には午後11時頃に到着しました。
「また、夜釣りに行きますか」と聞きますと「私は狙ってマダイを釣りましたので少し満足です。次はキス釣りかな」とM君は言います。

私は次回もグレ釣りでしょうか。
「ぐれねっと」番外編の地磯の夜釣りで真鯛を釣って、これで釣り運も少し上向きかもしれません。
次回に期待です。

 
検寸台左端が私の釣ったマダイ38cm 右側の大きいマダイ2枚はM君が釣ったものです


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