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 上野山さんからのリポート
 「何とかボーズを脱出」

  西小川 (福井県)
   2009/04/18

 


4月18日の土曜日もまたSさんと西小川に釣行しました。
そろそろ暖かくなりましたので、朝から釣りに行きたいのですが、Sさんに前日飲み会があるということでしたので、いつものようにのんびりと午後からの釣行です。
前回はSさんが大型のグレを釣ったのに、私はアタリもないボーズということで、またまた闇の中に入り込んだような心境です。
しかも、金曜日のグレネットでは4月11日にボーズ仲間のゆたきちさんが泊で41cmのグレやらチヌを4枚釣ったということで、なんと大釣りをしているではありませんか。
これでは私のみが連敗を続けているというものです。
いままでは、心の友、ゆたきちさんのボーズがあればこそ、少しは落ちついていられました。(ゆたきちさん、ごめんなさい)
ここでゆたきちさんが爆釣したとなると、砂漠で地図も無く一人取り残されたような気持ちとなりました。

この釣行記を読んでいてくださる方にも4連敗の想い出はないでしょうか。
私が思うに、この状況を抜け出すには釣りに行って釣ることしかないのです。
当然といえば当然ですが、いつか釣れることを信じて同じ場所に通ったほうが、海の状況も分かってきますし、釣れている磯も分かりますし、連続ボーズでも目を吊り上げて通ってくるという、異常な情熱の中年釣り師に船長が同情していい磯に乗せてくれるかもしれないというものです。

定額給付金が出たとはいえ先週も釣りに行っていますし、道糸やらハリスも買っているので今週いけるかどうか残っている小遣いの相談ですがですが、どうも散髪に行ってしまうと週末の釣りは難しいようです。
ここは次の給料日まで散髪をせずにすませて、普段も金を使わずに土曜日まで乗り切れば来週は給料日までの5日間を2000円ほどで過ごせば何とかなりそうです。
私は家で嫁に作らせた麦茶をペットボトルに入れて毎日会社に持参して飲みのものを買わないようにし、コーヒーは会社のインスタントコーヒーで済ませました。
なんとも涙ぐましい中年親父のヤリクリですが、釣りに行くためには節約も出来るというものです。
この節約のおかげで、何とか週末の釣りのヤリクリも出来ました。
そみなさんも大不況のさなか、小遣いには苦労しているのでしょうね。
たとえボーズでも、釣りにいけるだけでも幸せとおもわなくてはいけませんね。

そういうわけで、何とか土曜日も3週連続で釣りに行くことができました。
前回と同じ11時30分前に渡船屋に着くと船長が「今日は土曜日なので昼で帰る人は少ないで、交代して乗れる磯はあるかどうか分からんけど行ってみるか」といいます。
われわれは「ボラグリの大グレ」しか頭に無かったので、これは終わったという気持ちでした。
晴天でゆるい北風が吹いていて、海はベタナギです。
11時30分に出船して岬の鼻に着きますと、ボラグリ周辺の磯は全て釣り人で埋まっています。
「ボラグリ」には4人の釣り人が見えます。
船は「メカブト」のほうに向かいますが、名前の付いた各磯は全て釣り人が上がっていますし、誰も帰る人がいません。
赤潮が発生していてメカブトの周辺は赤潮が漂っています。

「今日は分かれて乗ってくれるか、赤潮の来てないところにのろか」と船長が言います。
Sさんは「シラタキ」の手前の定員1人といった感じの小さな磯に上がりました。
私は「シラタキ」を回ったところのワンドの中の小さな低い磯に上がりました。
ここは岬の中ほどの崖の下に位置します。
振り返りますと、山の木々の新緑がとても美しかったです。
私の乗った磯は3m四方ほどですが、海面から60cmほどしかなく足元はカラス貝がびっしりと付いています。
ベタナギの時しかのれない磯みたいですので、ちょっと穴場のように思いました。
磯の後ろは浅くて海草が茂っておりますし、右沖には根もあります。
釣りの前に水深を測って見ますと4ヒロ強です。
チヌ釣りには絶好の磯と思えました。

私はこりもせずに、またまた0号のシマノファインメタルを使いました。
シマノのレバーブレーキのリールの道糸は前回巻き変えて2号としました、ハリスはシーガーエース1.7号を2ヒロ半とり3Bの円錐ウキを使います。
タナは4ヒロで始めました。

北風に押されてウキが流れるのかと思いましたら、潮がかなり早く右に行っています。
マキエを打ってウキを20mほど流しますがエサが取られません。
仕掛けが潮で押されて斜めになっているかと思い、ウキ下を下げますがエサはとられません。
そのうち流れが止まり、ウキが流れなくなると、エサが取られはじめました。
フグが泳いでいるのが見えますのでエサトリはフグかもしれませんが、いつもこの時期に出るスズメダイが浮いてきません。
やがて流れはゆっくりとまた右に行きだしました。
エサは残ったり取られたりします。
この間ウキは一度も入らずにエサトリのベラなども釣れてきません。
このままでは5連敗という予感が立ち込めてきます。

時刻は4時前になりずっと立って釣りをしていましたので、少し休憩しようと、仕掛けを流したまま竿をバッカンの上においてお茶を取り出しに竿袋のほうに近寄ります。
竿袋からお茶を出したちょうどそのとき、ウキが沈みました。
これはアタリだと竿に向かいますが竿はガラガラと海のほうに引きずられています。
竿を手に持ちますと魚がかかっています。
そう大きくないようですので、すんなり上がってきたのは24cmほどのグレでした。
これで連敗脱出かと思いましたが、25cmも無いようなグレでは釣ったとはいえませんし、釣れ方がさえません。
このグレは放流しました。

すると次に投げた仕掛けがなじんだころにウキがゆっくり入っていきます。
あわせると、マアマアの引きであがってきたのは26cmほどのグレです。
低い磯での0号の竿ですのでこのサイズでも磯にはずり上げるようになります。
これはもって帰ることにして、磯クーラーに海水を入れて放り込みました。
ウキが入って魚を取り込むというのは、ほんとに久し振りのことです。

続けて仕掛けを投入しますとまた同じようにウキが沈みます。
今度は足元で魚が根に入りそうになり、0号の竿がのされてハリスが磯にこすれましたが何とか浮かせました。
これは0号の竿では抜くのは大変なので今年になって初めてタモを入れました。
このグレは28.5cmでした。
タナを浅くしたほうがよかったのかどうか分かりませんでしたが、後は餌がとられるばかりでした。
結局グレは2匹のみ持ち帰りとなりました。
夕方には潮が止まってしまい、チヌは不発でした。

釣り場はワンドの中にありほんとに静かでした。
釣っていて石が落ちる音がして振り返りますと、鹿が急斜面を下りてきてなにか草を食べていました。
気配を感じて振り返りますと、木にはサルが座ってこちらを見ていますし、ほんとに大自然の中で一人静かに竿を出しているということで心が洗われるようでした。

やがて6時になり渡船が迎えに来ました。
Sさんに「どうやった」と聞きましたら「ええとこに乗せてもらったわ」といいます。
Sさんの釣果は29.5cmのグレ1枚でしたが、夕方5時前に大物がかかり足元の根に持ち込まれてしまったということです。
「アレはグレの引きやな。足元でいきなり突っ込まれてドラグから糸が出て根に入られてしまった。ウキが見えているので竿を倒して横にひっぱったり、マキエを打って出てこんかとやってみたけど、どうにもならんので切ってしまった。
その後も、もう1回大きいのがかかって、今度こそは獲るぞと意気込んだら針が外れたわ。
結構おもしろかったで」ということです。

船長に聞くと我々二人の乗った磯は無名磯ということですが、有名磯よりも案外地方よりの小さな磯のほうが、人が入っていなくて、大物がいるということもあるようです。
釣り人を回収して港に帰りますと、夕方まで釣っていたのは10名弱でした。
チヌは40cmほどが1枚でしたが皆さん30cmまでのグレは持っていました。
今年はチヌよりも先にグレが釣れだしたようです。

Sさんは2週続けてのヒーローにはなれませんでしたが、強い魚の引きを味わえて満足そうでした。
私も何とかボーズを脱出できたということで一応安堵いたしましたが、なんといってもSさんの釣った大グレを見ているので、何とかアレをものにしたいという気持ちでいっぱいです。
グレに根に持ち込まれることを考えますと0号の竿ではやはり心もとないですね。
ですが釣りは遊びですので何とか0号の竿で40オーバーのグレかチヌを釣ってみたいものです。
Sさんは、今回は大物をバラしたということでやる気まんまんです。
ゴールデンウイークあたりまではSさんともども西小川にラッシュをかけようと思っていますが、小遣いがもつかどうかが心配です。


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