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 上野山さんからのリポート
 「釣りたい思いが苦行を可能に

  神津島 (東京都)
   2017/05/03

 

5月3日、4日と2日間またもや神津島に釣りに行ってきました。
前回久しぶりに尾長グレの引きを味わってしまうと、さて次はいつ行こうかということになり、1ヶ月ぶりにFさんと二人で再度の神津島釣行となりました。

一度尾長グレの引きを味わってしまうと、クチブトグレでは物足りなくなってしまうのが釣り師の性(さが)でしょうか。
若狭湾のコッパグレ釣りをしていては、まず一生味わえない尾長グレの引きはまさに禁断の果実と言ったところです。
私も尾長グレを知らなければ、若狭湾で30cmのクチブトグレを釣って、これがグレ釣りだと思っていたと思いますが尾長グレは全く別の魚です。
ウキが入った瞬間に竿まで引き込まれるスピードは、釣師の心をわしづかみにする魅力あふれる魚です。

前回から使用しているガマカツのアテンダーU、2号は大きな魚が掛かり、竿が引き込まれるときに一瞬心に余裕が生まれるような時間をもたらしてくれるタメが竿にある気がします。
これは釣り人が感じるものであり、言葉で言っても分かりづらいと思います。
この竿のおかげで今年は大きな魚もタモ入れできているように思えます。
よく釣り師のたとえ話で、とてつもない大物が掛かりますと「ギューン、ブッツンの引きでバラシました」と言いますがアテンダーでは「ギューーン、ブッツン」とでも言いましょうかギューーンという間が少し長いのでその間に心の準備ができるような気がいたします。
その間は多分1秒もないと思いますが、なんとなくそんな気がいたします。

今回の釣りはさいわいなことに3,4日とも高気圧が張り出していて晴れの釣り日和のようです。
しかし「天気が良すぎて釣れないかもしれない」などと余計なことを考えるのも釣り師であります。
天気のことや当日腰痛が出ないかなどといろいろなことを心配しながらも、ドンドンと時間は経って釣りに行く日がやってきました。

前日から魚を入れるハードクーラーや磯クーラーを出して来て車にどうやって二人分積むかと考えたり、着替えの準備やハリ・オモリなどが足りているかなど細かいものの確認をしました。
釣り宿に帰ってから腰に塗るバンテリンや手に塗るメンソレタムなども準備万端で、すでに神津島の釣りは始まったも同然でありました。
準備をしながら5号のハリスを確認してフフッと笑ったり、アテンダーU2号を竿袋にしまい今回も頼みますと拝んだりで、私の心は遠く離れた神津島に前日からすでに飛んで行っているのでありました。

5月2日は7時にサンスイ釣具店でFさんと待ち合わせました。
今回のエサは2日間で生オキアミ4枚にボイルを2枚、集魚剤の5倍増グレを1袋としました。
私の車に荷物を積み込み関ヶ原まで下道で行きました。
関ヶ原から高速に乗り新東名を通って下田には1時頃に到着しました。
船が3時半に港に来ますので2時間ほど車の中で寝袋にくるまって仮眠しました。

3時になって起きますと今日は連休初日の晴天の日ということですので、ほぼ定員の26名に近い人数の釣り人がいるようです。
我々の荷物は2人で竿ケースを入れて9個です。
26名ではものすごい数のクーラーとバッカンの数です。

20分ほど掛かって荷物を船に積み込み4時ごろに船は神津島に向かって出発しました。
私は今回もアンプルの酔い止めを飲みました。
酔い止めが効いたためか、うつらうつらしているうちに船は神津島に到着いたしました。
港で宿に泊まっている釣り人と合流をして6時前に船は港を出ます。

港の前でしばらく待機をして6時になりますと、我々の賀寿丸は海央丸と恩馳島を目指して競争になります。
恩馳島では石鯛釣りの釣り人を2組下して上物はヒラッタイに1組下したあとは、恩馳島をあとにして本島の灯台下の磯に向かいます。
どうも恩馳島では上物はあまりよくないようです。
船長の話では釣れてくるサイズが小さいということです。
最初に「一の首」に釣り人2名をおろし、次の磯に女性の釣り人ともう1名をおろし次に我々が呼ばれました。

お昼ごろに灯台からの遊歩道を下りてきた女性の話声がしましたので、上を向きましたら観光客らしい女性が2名写真を撮っていました。
このあたりの磯は灯台方面から降りてこられるのかもしれません。

さて、今日の仕掛けです。
竿はガマカツのアテンダーU,2号、リールはシマノのレマーレ、道糸は4号、ハリスはシーガーエース5号です。
釣研の小粒のウキを半ヒロ遊動にしてハリス2ヒロと道糸をサルカンでつなぎます。
ハリはザロック8号です。

磯はぎりぎりタモが届く高さの磯です。
凪ですのであまりサラシは出ません。
Fさんは磯の左側から、私は船着きで竿を出しました。
マキエを打ちますと潮はゆっくりと左に流れるようです。
潮回りは小潮で朝4時半が干潮で9時半が満潮ですが干満の差はそうないようです。

時刻は7時前です。
ウキ下2ヒロ半で始めますがエサが取られます。

10回くらい投入したでしょうか、サラシに押されたウキが沈んで行って加速します。
合わせますと1匹目から強烈な引きです。
リールのドラグはやや硬めに調整しましたがズルズルと糸が出ます。
アテンダーも満月に曲がります。
なぜに1投目からこんな魚が掛かるのかといつも思います。
1匹目はウオーミングアップを兼ねて40cmほどの魚が掛かれば楽でいいのですが、私はかなりの確率で強烈な奴が1匹目に掛かるように思えます。
魚は抵抗しながらも足元に近づいてきました。
ハリス5号ですので強引に魚を寄せました。
手前に寄せようとしましたが、魚は磯の右側に少し張り出している根に回ろうとします。
魚を強引にこちら側に向かせますがやや魚の力が勝り、魚は右に走り根の上を通りすぎてからこちら側を向きます。

この魚は良く引きますがどうもグレではないようです。
小刻みに頭を振っているような引きです。
ウキが見えてきて足元を走り回る魚を見たときに、グレにしてはやけに黒い感じがいたしました。
ウキが見えてからも右左に引っ張りまわされます。
タモ入れ寸前ではアテンダーは下に引っ張られますので、Uの字をさらにきつくしたような角度で曲がっているので折れないかと思ってしまいます。
私はタモ入れまで尾長グレであってくれと思いましたが、Fさんが出してくれたタモに無事に入ったのは大きなノトイズスミです。
ノトイズスミは3月に神津島に来た時にタモに入ったのに逃がしてしまった魚です。
この魚はメジャーで測りましたら60cmほどありました。
これが尾長グレでしたらいうことは無いのですが、なかなか尾長グレの大型は釣れませんね。
でも、最初にかけた魚が60cmの尾長グレでしたら、もう今回の釣りは終了という気分になったかもしれませんね。

 

ノトイズスミ 60cm ものすごい引きでした


その後Fさんにアタリがあり36cmほどの尾長グレが釣れます。
Fさんは活かしバッカンを持ってきていましたので、釣った魚は活かしバッカンに入れています。
私もボツボツと30cmほどの尾長グレが釣れますがこのサイズは放流いたします。 

8時ごろに少し沈んだウキがスッと沈むいいアタリがあり38cmの尾長グレが釣れました。
この魚は締めて私の磯クーラーに入れました。
続いて釣れないかと思いますが次はまた小型の30cmほどの尾長グレが釣れました。
Fさんも小型の尾長グレが釣れているようです。


 

8時ごろ釣れた尾長グレ 38cm


Fさんとは魚が小さいので磯替わりしようかと話していましたが、なかなか船が来ないのでそのまま釣っていることにしました。
今日は釣り人が多いので磯替わりができないのかもしれません。

私は甘いパンを食べたりして休憩をしながら釣りをしました。
食べ物を食べるとき以外は大物に備えて磯際に立って釣りをしています。
下田で2時間ほど仮眠をしたのと船の中で1時間ほど眠っただけですので、初日はかなり疲れた状態での釣りとなります。
60歳を過ぎてこんなしんどいことをよくすると思いますが、やはり好きだからこそできることですね。
尾長グレを釣りたいという思いがこの苦行を可能にしていると言っても過言ではありません。

10時ごろになり、私の隣でFさんが40cmほどの尾長グレを釣りました。
続いて私にもアタリがあり40cmの尾長グレが釣れました。
尾長グレはそう大きくなくてもタモ入れの前に強い引きが来るので、取り込みは慎重になりますね。

その後30分ほどして、ゆっくりとウキが入り今日初めてのクチブトグレの40cmが釣れましたが、今回は尾長グレ釣りということでこの魚は放流しました。

クチブトグレ40cm この魚は放流しました


お昼前になり潮は逆に右側に流れ始めます。
Fさんは磯の左側から右側に引っ越してきて釣をしています。
足元から出ているサラシの沖でアタリが出るとFさんは言っています。
Fさんも35cm前後の尾長グレが掛かっているようです。
私はFさんの前に時折ウキを投げさせてもらいますがFさんの半分ほどもグレは釣れません。

 

隣で竿を出すFさん


私にもウキがシュッと入る竿を絞るアタリがあり、やり取りをして上がってきたのは40cmほどのサンノジでした。
この魚もよく引きました。
サンノジもよく引きますが不思議とバラさずにタモに入りますね。
この魚は尾長グレに比べると取り込みやすい魚ではないでしょうか。
釣れたサンノジは放流しました。

 

久しぶりのサンノジ


私はこの魚を最後にアタリが無くなり2時半に竿を置きました。

今日は私が尾長グレ38cmと40cmの2匹をキープして35cmほどのオナガグレ3匹と40cmのクチブトグレ1匹を放流という結果でした。
30cmほどのグレは4,5匹放流したでしょうか。
60cmのノトイズスミも取り込めて、今日は一度もバラシがありませんでした。
Fさんは35cm〜40cmの尾長グレを6枚ほどキープしたようです。
Fさんもイズスミが掛かったようですが切られていたようです。
釣れたのは中型の尾長グレでしたが、1日アタリがありましたので楽しい1日でした。

やがて3時前に迎えの船がやってきました。
港につきますと今日は14人ほどが神津島に泊まるということで、泊りの荷物やクーラーを船から港に出しましたのでものすごい荷物の量です。
船長から、車に荷物がそう積めないので竿袋は船に乗せたままにしてくださいということを言われましたので14人分の竿袋は船に残しました。
軽ワゴン車3台と軽トラック1台に荷物を満載して14人はそれぞれ民宿に向かいました。

私とFさんは民宿では一つの部屋に泊まれましたのでゆっくりできました。
同宿の方と4人で島の温泉に行き、民宿の食事は9人で食べました。
今日の釣果の話や男女群島のオナガ釣りの話、イナンバのオナガ釣りの話などで1時間ほどはあっという間に経ちました。
7時過ぎに宿の奥さんがテーブルを片付けるということで、我々はそれぞれの部屋に分かれました。

部屋に帰ると私はあっという間に眠ってしまいました。
1日ウキを見ながら立って釣りをして、このところないような疲れ方をしたのだと思います。

これで正月からグレ釣りは5連勝ということです。
明日も釣れるとよいのですが。


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